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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/12/29(水) NO.631号 

かけがえのない体験への恩返し(12月29日)

 既にライブレポートでは報告したが、12月23日に、今から40年余り前、米国へともに高校生留学したAFS14期生40名が東京に集まった。第一次大戦の戦場での救出活動から始まり、一年間のホームステイをしながら米国の高校に通うプログラムであるAmerican Field Service(AFS)の仲間達だ。AFSは、今や米国との二国間の交流だけではなく、日本とアジアや欧州、南米諸国などとの間でも行き来する、マルチプログラムになっている。

 我々14期生は、15期生の妻がうらやむ程結束が固く、何年おきかに、かなりの人数が集まる。今回も、同期生がAFS国際理事会から賞を受けるので、そのお祝いをやろう、とのメールに対し、あっという間にメールが行き交い、二次会を含め、124名のうち40名が集まった。それも、ウィーン、ニューヨーク、九州、四国、中国、東北など、国内外の遠くからも大勢集合した。

 同期生達は、医師、弁護士、大学教授、国連機関職員、マスコミ、ドキュメンタリープロディーサー、会社経営者、会社員、僧侶、主婦など、多彩な活動をそれぞれ行っている。一人一人マイクを持ち、近況報告。多少の違いはあれ、驚くほど共通していることは、皆、高校生時代に経験した米国でのかけがえのない、貴重な経験を大切に思い、社会にご恩返しをしたい、との思いを持っていることだ。「高齢社会に向け、新しい病院を立ち上げた。これからは地方の時代。AFSの経験も活かし、地域医療で頑張る」とか、「退職後は、AFSの経験やこれまでの仕事での経験を活かし、大学で若い人を育てたい」など、各々の思いを抱きながら社会や次世代に貢献し、かつてのかけがえのない経験をさせてくれた人々に恩返しをしよう、との気持ちを熱く持っていることが分かった。何だか嬉しくなった。

 一番分かり易いご恩返しは、外国からの留学生を家庭でホストし日本の学校に通わせることだ。私の姉は、豪州、モンゴル、ノルウェーからの高校生をそれぞれ一年間預かっていた。私は政治の世界に入ってしまい、留学生をホストすることが難しくなり、ならばAFS日本協会などが役割を担うアジアを中心とする留学生受け入れプログラム予算の獲得でせめて汗をかこう、と努力してきた。

 財政再建の犠牲になりかけていたASEAN諸国からの高校生受け入れプログラムの予算復活や、外務副大臣時代の「日中21世紀交流事業」、安倍総理主導の「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYSプログラム)」創設にも取り組んだ。そもそも、高校生などの留学生受け入れを国家戦略として考える司令塔が政府にはなく、留学生受け入れは文部科学省、国際交流は外務省に別れ、誰もトータルに考えていないことが判明したので、私の官房長官としての仕切りで、外務省の広報文化交流部長が司令塔となるべし、としたが、さて、その後民主党政権下ではどうなっているか。

 いずれにしても、今回の同窓会でまたまた同期の結束は固くなった。我々の間から、何か社会貢献の新たな試みが生まれるかもしれない、との予感も得た。同じ思いならば、何か一緒にできることもあるのではないか、との共通認識もできた。頑張ろう。