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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2012/08/17(金) NO.726号 

一流国家であり続けるための覚悟

 尖閣諸島・魚釣島に不法上陸した香港の活動家の扱いに関し、野田総理は、法令に則り厳正に対処する、と明言したが、それが48時間以内の強制退去処分になりそうだ、との報道だ。確信犯には裁判しかあり得ないだろう。

 問題の本質のひとつは、国家主権を侵害する不法行為たる領海侵犯を取り締まるのに、漁業法や入管難民法(不法入国)の違反容疑で対処していることだ。今回、海上保安庁の船が大挙して取り囲みながら結局上陸を許してしまったのも、日本のそうした法制度上の限界がある。私は既に遡ること1年半も前の2011年1月24日に、政府に対し「実効ある領海侵犯対策を実施するために、『領海侵犯罪』を規定するための領海法改正等の法整備を直ちに行うべき」こと、そして「実効ある国土保護のために、自衛隊による領域警備を可能にするための自衛隊法改正等の法整備を直ちに行うべき」ことを、質問主意書で政府に訴えている。

 しかし、当時の菅政権の回答は、「御指摘の『領海侵犯』が何を指すのか必ずしも明らかではない」、「御指摘の『領域警備』については、その意味するところが必ずしも明らかではない」などと濁しながら、「我が国の領海をめぐる情勢等を踏まえ、更に効果的な対応がとれるよう、法整備の必要性も含め、検討しているところ」と木で鼻をくくったような答弁を閣議決定した。官僚が作成した文書とは言え、「『領海侵犯』が何を指すのか必ずしも明らかではない」とは、あまりに酷い。

 一昨年の中国人船長釈放事件から何も学んでいない民主党政権。国土が私達の目の前で日に日に削り取られていくのを、座して見ていることはできない。国会で引き続き訴えていきたい。

 ところで、今朝の新聞の大半が、アーミテージ元米国務副長官、ナイ・ハーバード大教授など、超党派の米有力者グループが一昨日、日米同盟に関する第3弾目の報告書を公表した事を報じている。対中国政策、対韓国政策についても多くの提言が入っている。

 外交安保政策中心の提言だが、米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のホームページにアップされた原文の「はしがき」を読んで、新聞報道からは伝わってこない本音を知り、愕然とした。

 まず、一流国の定義として「それなりの経済力」、「有力な軍事力」、「地球規模のビジョン」、そして「世界的問題解決におけるリーダーシップ」の4条件を具備している事を挙げている。そして、日本が引き続き一流国であり続ける事を希望するか、それとも二流国への転落を甘受することに満足するか、今、日本は決断を迫られている、という。もし二流国に甘んじるというなら、今回の提言は無縁なものとなる。なぜならば、日米同盟は、日本が世界の舞台で目一杯貢献する事を前提としているからだ、と明確に指摘している。一流国以外とは、真の同盟関係を結ばない、という事だろう。

 そして、結論として、日本が一流国に止まる力は十分あるが、全ては日本の気持ち、心の準備(disposition)次第だ、と断言しているのだ。

 民主党が3年前に政権交代を実現したものの、国家統治の哲学もない内閣ゆえ、国内問題に翻弄され、外交政策もボロボロ。その隙につけ込むように、ロシア元首は北方領土に、韓国元首は竹島に、そして今回、香港活動家によって尖閣・魚釣島に上陸されてしまった日本。一流国に止まる覚悟があるなら、上記「一流国4原則」をしっかり充たし、近隣国に対しても不動の姿勢を明確にするしかない。