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2011/07/26(火) NO.669号 

誰の犠牲で誰が救われるか?

 先週末から報道されているが、福島原発事故の賠償スキームと、東電の会社としての今後を決める「原子力損害賠償支援機構法案」の修正に関し、自民・公明・民主が合意に達したようだ。修正協議の現場報告を聞いてみないと真実は分からないが、どうも自民党内で重ねてきた議論が活かされず、「国の責任を明確化する」との大義名分の下、国民負担が増えてしまいそうだ。

 かつてヒゲの隊長こと佐藤参議院議員も党内議論の際に指摘していたように、「国の責任を増やす」と言うことは、「東電の責任を減らす」と言うことを意味する。それは、東電のコストカット、資産売却の手を緩めさせ、株主や融資金融機関、社債権者の責任を軽くする、と言うことだ。福島で強制的に避難させられ、つらい避難所生活を延々強いられている方々から見れば、およそ考えられないことだろう。とりわけ、事業者の責任集中と無限責任とが現行原賠法の基本である限り、責任の所在を事後的に変えるのは通らない。今後のことは、今後のこととしてしっかり法改正をするしかない。

 今、物事を決める際に大事なのは、誰の犠牲によって、誰が救われるのか、と言うことだ。

 私達は、電力の安定供給を維持しながら最も公平、公正に賠償問題を扱い、真に国民負担を最小化するには、企業再生支援機構などを活用しがら慎重に法的処理をすることが最適ではないか、と主張してきた。そして、東電をゾンビ企業にし、社員の皆さんのモラル低下を招くようなことは避けるべきだ、と言ってきた。

 今回の修正合意では、どうやら「二段階方式」をとっているようだ。それは、当面(第一段階)は支援機構の支援により東電を存続させ、その後の段階(第二段階)でいずれかの時期に法的処理をする可能性がある、という内容だ。しかしこれでは、いざその段階になっても、「やはり破綻はさせられない」とその時の内閣に拒否されるだけだ。仮に「債務超過にはしない」という閣議決定の文言を撤回させても、実質的には結局政府は債務超過にさせないだろう。二段階方式にするのであれば、「債務超過にはしない」の文言を撤回させるだけではなく、「一定期限のうちに必ず法的整理を行う」ことを明記しなければならない。そもそも、第2段階で破綻処理が行われる可能性がある、と世の中が捉えているなら、一時146円まで下がった株価が535円(25日終値)まで戻るはずはない。

 党改革中間提言でも指摘したように、自民党がなぜ政権交代され、野党として定着してしまったかと言えば、それは国民が自民党は特定利益集団のためにしか働かず、広く国民一般のためには働かない、と思ったからだ。再び同じ過ちを繰り返すことのないよう、今回の賠償法案の中身に関しても、国民を犠牲にして特定の集団を救うことに自民党が加担する結果とならないよう、最後の瞬間まで、徹底した議論を求めたい。

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