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2011/12/15(木) NO.690号 

日本人の正義とは

 昨日、私が座長を務める自民党企業・資本市場法制PTの合同会議に、オリンパスの元社長、マイケル・ウッドフォード氏を招き、ご講演いただいた。既に、各種メディア等で、彼がオリンパスの不正を追及した際の経緯については明らかになっているが、改めて臨場感のある話を聞いて、多くのプレッシャーの中で外国人の彼が果たしてきた役割の大きさを実感する。

 「社外取締役を過半数にし、取締役の独立性を向上させるべし」、「監査法人自体のローテーションを法改正によって導入すべし」など、彼の主張する改善案については、私のエンロン事件、西武事件以来の主張と基本的考え方を同じくする。多くの共感と示唆を得ることができた会だったが、一つ彼の紹介したエピソードの中で、強く印象に残ったものがあった。

 それは、彼が「FACTA」という雑誌によってオリンパスの不正を知り、菊川剛元社長に詰め寄った時のことだ。ウッドフォード氏は、まともに取り合おうとしない菊川氏から「あなたは日本人の心を知らない」と言われたというのだ。それはつまり、「同じ仲間の罪を暴いて晒すのは、日本人の美徳に反する」と言っているに等しい。

 しかし、その後のウッドフォード氏の発言は鮮やかだった。彼は「人間は、世界の何処へ行こうと、日本人だろうとアメリカ人だろうと、本質的には変わらないはずだ」と言う。これが、日本のムラ社会にどっぷり浸かった経営者と、そうでない経営者との本質的な意識の違いだろう。

 今回のオリンパスの問題でも、監査役や「社外取締役」が全く機能しなったことが、原因の本質として指摘されているが、そこには、「ムラにはムラの事情があり、外部の人間がとやかく口をはさむのは美しくない」という、菊川元社長曰くの「日本人の心」があったのではないか。そうした前提の中で、「社外取締役」だけ増員しても意味がないだろう。

 原子力の分野でも問題は共通している。国会原発事故調査委員会を発足させる時も、保安院再編議論の時も、「ムラから独立した原子力の一流の人材などいない」と散々言われた。実際「原子力ムラ」という大きな利益共有集団が人材を一手に集め、福島原発のような大きな事故を起こした後も、お互いがお互いの罪をかばい合うという、いわば菊川元社長の言う「日本人の心」で、ムラを維持してきた。

 ムラから独立した人材がいないのではない、人材を育ててこなかったのだ。「社外取締役」にしても同じで、これまでの日本では、「社外取締役」と監査役に多くを求めてこなかった。そのため、利益共同体として、社内外問わず一体の取締役会が形作られてきた。オリンパスの例でいえば、そうした日本的な取締役会が全会一致で、不正を暴いたウッドフォード社長を追放したのだ。

 オリンパス事件では不正をリードした張本人が、かつて「社外取締役」であったとされている。しかし、こんな「社外性」は全く意味がなく、必要なのは「独立性」を備えた「独立取締役」だ。真に独立した立場から会社を観るという視点こそが重要なのだ。

 そして、制度も大事だが、今こそ「日本人の心」を変える必要がある。「日本人の心」が隠ぺいの代名詞となっている悲しい現状を打破し、今こそ日本発の、「日本人の正義と公正」を、世界に打ち出す時ではないか。

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