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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2012/04/06(金) NO.706号 

教訓を学ばない政権

 野田政権は昨日、原発の暫定安全基準を了承し、今日、関係閣僚会合で、それを正式決定するという。野田総理が暫定基準作りを指示したのは3日だから、たった2日で新たな基準ができ上がった訳だ。おまけに、30項目のうち14項目は実施済みだ。

 「再稼働先にありき」がありありで、この政権には今回の福島原発事故の重大性から教訓を学び、規制行政を根本から改めよう、との覚悟が全くないようだ。我々は、この一年余り、数多くの原子力関係者との意見交換から、原子力規制行政は、透明なプロセスによって基準を作り、デュープロセス重視を徹底しながら、安全基準等への適合性を淡々と判断する、裁量を最小限に抑えたものに大転換しなければならない事を繰り返し学んできた。にもかかわらずこの政権は今、古い引き出しに置いてあった基準を引っ張り出すかのように、保安院の密室で暫定基準を決めてきた。

 暫定基準作りが遅くなったことと、政府提案の「原子力規制庁」が予定した4月1日に発足できない事とは何も関係ない。そもそも、暫定安全基準は、遅くとも夏前までにも作っておくべきだったし、新たな規制機関に関しても、昨年秋の臨時国会で提案すべきだったはずだ。全てが遅い。政府は、昨年の3.11以前で思考停止したままなのであろうし、そのような思考回路から出てきた規制機関の提案が正しいはずもない。

 来週早々には、我々が自民党内で議論を重ねてきた、独立性の高い、いわゆる「3条委員会」による原子力規制機関の案が正式にまとまる予定だ。その後、国会で真剣な論戦を闘わせ、福島はもとより、世界に迷惑をかけた重大事故から学んだ教訓を活かした、新しい規制機関を誕生させなければならない。もちろん、6月初にも出てくる国会事故調査委員会報告書のおける提案や、その後の様々な変化を受けた見直しは必要だ。

 いずれにしても、歴史的にこれまでにないほど深刻な被害を受けた地震、津波、そして原発事故からしっかり教訓を引き出し、それを活かした復旧・復興そして政策転換、組織大改変に、国家としての全力を注がねばならない。