トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2012/09/09(日) NO.731号 

国会事故調の提言を活かせ

 一昨日、国会が実質閉会した。しかし、政府・与党はたっぷりあった時間を活かすことなく、積み残した課題、いや、やり散らかした重要法案などを、山積状態のまま、国会を閉じたのだ。

 議員定数削減問題、原子力規制委員会同意人事、特例公債法案など、答えを出さずに国会を閉じることはありえないような重要問題ばかり。そうしたやり残した数々の重要課題の中に、国会事故調査委員会(以下、国会事故調)の報告書にある7つの提言に関する国会としての態度決定問題があった。

 7月5日に事故調報告書が国会に提出されて以来、私は公明党の遠藤乙彦衆議院議員とともに、打ち出された7つの提言を、衆議院としていかに具体的、かつ速やかに実現すべきかを議論してきた。中でも、7つの提言のうち、国会に関係する提言は、大きく分けて2つある。

 一つ目は、新たな原子力規制当局を監視する常設の委員会、それも独自の高度専門人材が構成する諮問会議をアドバイザーとして備えた、新しい形の常設委員会を国会に設置する提言だ。二つ目は、原発事故以外の問題に関する国会としての独立調査委員会設置提言だ。

 我々自公両党は早い段階で、衆議院に特別委員会として「原子力問題調査特別委員会(仮称)」を設けることを民主党議運理事に提案していた。当初民主党は、複数の大臣を拘束される恐れがあるので、特別委員会ではなく環境委員会に新たに小委員会を作ったらどうか、との消極姿勢。しかし環境委員会には、自公民と小沢新党しかおらず、共産党、社民党、みんなの党などと全党上げての議論には相応しくないし、そもそも、原子力規制委員会に対し何の権限もない環境省に対応する環境委員会での審議は論理的におかしい。

 結局、民主党の松野、山井議運理事の二人とは、この特別委員会は所管大臣を持たず、常時出席は大臣クラスである原子力規制委員長のみとし、他の省庁に関しては原則的に大臣を呼ばず、副大臣対応、との内容を明文化し、覚え書きを交わす、という事で合意した。また、日程的には国会が不正常な状態を脱するであろう、会期最終日に議運、本会議で委員会設置を正式決定すればよい、という事でも意見の一致を見ていた。そして、次期国会においてその特別委員会の第一回の会合で、黒川委員長らを招き、報告書について正式に説明を受け、議論を深めることとしていた。

 ところが結局、民主党国会対策委員会幹部は最後まで我々の案に賛同せず、何もしないままに国会を閉じてしまった。国会が全会一致でお願いして、事故原因などの徹底検証を行ってもらった国会事故調から、7つの提案というボールを投げられていたのにもかかわらず、与党民主党だけの反対のために、中身で合意までしていたボールがお蔵入りとなってしまった。国会事故調の10名の委員長・委員には申し訳ない限りだ。

 民主党には、この報告書による提言の実現は、国会事故調への責任を果たすために必要であると同時に、日本の国益に止まらず、世界の原子力の安全やエネルギー政策に影響を及ぼす、言うなれば人類益があることを理解してもらわないといけない。国会は終わってしまったが、次期国会冒頭での実現に向け、最大限の努力を続けるつもりだ。