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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2012/06/19(火) NO.718号 

新しい日本を創る契機とせよ

 先週金曜日、新しい日本の方向性を決める、2つの大きな政策に結論が出た。

 1つは、「原子力規制委員会法案」。与野党修正を経て衆議院で可決され、異例のことながら同日参議院本会議で審議入り。昨日から環境委員会で審議を開始し、明日には参院本会議で成立する予定だ。与野党修正においては、本質的なところで我々の自公案から一歩も譲歩せず、結果として政府・与党が我々の案を丸飲みした形となった。改めて関係各位の皆様に感謝申し上げたい。

 もう一つは、いわゆる「社会保障と税の一体改革」に関して、民主党・自民党・公明党の三党合意ができ、消費税の10%への増税の方針が決まった事だ。
 財政の悪化や少子高齢化による社会保障制度の持続性不安などの深刻な現状を考えれば、元々問われていたのは、当面10%への消費増税をするか否か、ではなく、増税に際しどのような新しい「国のかたち」を提案できるかだったはずだ。財務省流の「社会保障と税の一体改革」という小さな土俵での議論だけでは、約13兆円にものぼる、全税収ベースでの3割増税を国民に納得して頂くには不十分だろう。ムダ削減など財政支出改革、教育改革などが不可欠な成長戦略など、日本再生のためのトータルプラン、「日本の改造計画」的論議が必要だったはずだ。

 しかし、今回の三党合意までの議論では、狭い意味での社会保障制度改革の中身と税制改革に殆ど終始し、歳出削減に関しては皆無。経済再生に関しては、わずかに消費税関連法案の付則において、かろうじて「成長戦略や事前防災、減災等に資する分野への資金の重点配分」との文言が入った程度。国民の暮らしを議論する土俵としては狭すぎる。

 今回の三党合意までの協議過程における、自民党から国民へのメッセージ発信は、余りにも乏しかったと思う。自民党的政治を批判し、「脱官僚依存」、「コンクリートから人へ」、「行政刷新」など、あたかも「小さい政府」を目指すかに思えた民主党政権が、実は自民党時代よりも10兆円以上も歳出を増やしてきた。そのバラマキ政策の撤回に関しては、生活保護費などごく一部を除けば、殆ど協議の中から議論が聞こえてこなかった。つまり今回の三党合意は、言ってみれば、既に十分増えてしまったバラマキ政策を前提に、そこから先の今後の社会保障のバラマキ削減だけを問題にした、という事ではないか。

 この上は、自民党は、これまで十分行ってこなかった国民各層からの意見を聞く事が大事だ。まずは、自民党各都道府県連の幹事長等代表者を集め、意見聴取を行うべきだ。そして、住宅、自動車、医師会、中小企業団体など、消費増税のマイナスを懸念するあらゆる団体から、徹底的にヒアリングを行い、本音を聞く事だ。同時に、自民党総裁直属の「自民党・成長戦略実行本部」を立ち上げ、国レベルの成長戦略の提言を踏み込んでどんどん行う。各都道府県にもその支部的組織を置き、地方議会での与党の立場があればなおさら、それを踏まえた政策提言、実行を「成長戦略都道府県実行本部」において担っていくべきだ。

 一方、議員定数削減にも早く踏み込み、独自議員立法を出すべきだ。さらに、「自民党・行革断行本部」を設け、党本部は国レベル、県連は県・市町村レベルでの行革断行体制を作り、「全国一斉行革」を推進すべきではないか。公益法人への税金のムダ遣い、天下りなど、中央、地方を問わずやるべき事、ムダ削減による増収効果は、まだまだあるはずだ。

 公務員人件費削減に関し、自民党は既に国、地方合わせて2割カットを提案しているが、民主党は応援を受けている自治労に遠慮して、国家公務員に限って2割カットを公約してきた。頑張る人がどんどん伸びる人事政策に転換し、ダメな幹部の給与はカットし、人件費節減するため、「能力実績主義」を入れるような地方公務員法改正をすべきであるし、国家公務員の幹部に関しては、一昨年私達が国会提出した「幹部公務員法」を可及的速やかに成立させるべきだ。

 いずれにしても、消費増税が行われるならば、同時に、税金のムダ遣い、重要度の低い支出のカットなどを徹底して行うとともに、成長戦略を断行する。これでも足りない部分は、増税をお願いする、しかない。これからは、これまで以上に真剣かつ計画的な総合的取り組みが求められる。