トップ > マスコミファイル

マスコミファイル MassMedia File 塩崎やすひさに関する取材、記事をご覧いただけます

  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー

朝日新聞-2006年7月29日掲載記事

対インド政策 「空のビッグバン」で打開を

いま、インドと日本を結ぶノンストップ航空直行便はわずかに週5便しかない。インド-英国間が週108便、インド-ドイツが53便、フランス40便。米国の14便と比べても大きく出遅れている。このままでよいのだろうか。解決策とともに考えてみたい。
 インドは、世界の生産と消費の中心になる潜在力を持っている。世界2位、早晩、中国を抜くとも言われる11億人の人口は、若年比率が高い。英国の法体系を継承した民主主義国家であるうえ、英語が日常的に使われている。情報技術分野の成長も著しい。
 インドの成長が注目される中、米欧のみならず、アジア諸国も対印貿易・投資を急増させ、それと並行して、各国が競い合って航空路の拡充に努めた結果が、冒頭に記した国別の便数の現状だ。このままだと、インドの主要空港は米国や欧州路線で満杯となり、日本路線の参入余地がなくなる恐れすらあるという。日本の外交・経済戦略にとって、これは死活問題となりかねない。
 便数を増やすうえでネックとなっているのは、便数・機材・路線・乗り入れ地点などを制約する、現行の2国間航空協定のあり方だ。日本-インド間もその例外ではない。私はこれを改め、「オープンスカイ政策」を、インドとの間で導入するよう提案したい。
 オープンスカイとは、いわば「空のビッグバン」だ。航空会社が自国・相手国の政府を通さずに、乗り入れたい海外の空港側と直接交渉できるようにするのである。
 その結果、需要に応じた路線の拡大が可能になるとともに、後追いでなく、供給が需要を作る先取り型のサービスが可能になる。実際、インドは米国との間でオープンスカイ協定を締結済みで、アジア諸国とも鋭意交渉中という。
 東アジア経済圏の充実には、域内航空市場の自由化が重要だ。日印間を突破口に、オープンスカイを東南アジア諸国に広げ、「線から面へ」と展開させたいものだ。
 また、発着枠が満杯の成田空港から、貨物便などを関西や中部国際空港発着に移し、捻出した成田の枠を需要に応じてインド諸都市への旅客便に使うといった機動的運用も実現可能になる。成田の容量的限界も突破できるわけだ。
 そのために、オープンスカイ政策を、人や資本、財、サービス、情報の流れを太くするための経済連携協定(EPA)と一体不可分なものとし、同時並行で追求すべきだ。新たにインドと結ぶEPAには、当初からオープンスカイ政策を取り入れ、他の国と締結済みのEPAにも逐次同政策を加えていけばよい。
 日本のこれまでの航空行政は、競争力の強い米国の航空会社からのオープンスカイ化の要請に対し、2国間協定の枠組みを維持することで自国の航空業界を守る裁量を保ってきた。その反面、「攻め」の規制緩和・自由化には慎重だった。
 だが、このままインドなど他の国との間でのオープンスカイ政策導入の道をも閉ざしてしまったら、飛躍するアジア経済をわが国の経済発展に取り込むチャンスを逸することになりかねない。より大きな国益を失ううえ、かえって日本の航空会社のビジネスチャンスをも奪ってしまうことに気づくべきだ。