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朝日新聞-2005年10月2日掲載記事

まずアジアで存在感を

 日本の金融システム全体への不安が高まり、それを解消するために、我々が金融再生法や金融早期健全化法の成立に取り組んだ98年ごろから比べると、事態が前進したのは事実だ。
 不良債権問題には、銀行経営や大蔵省の監督行政、政府・日銀のマクロ経済政策などのさまざまな失敗が凝縮されていた。バブル崩壊後しばらくは、問題の本質がわからなかった。
 銀行の資産を市場実勢に合わせて正確に評価しようと、97年ごろから言い続けてきた。そこには、日本の産業の病巣が表れており、不良債権処理と産業再生は表裏一体だった。
 (巨額の公的資金を投入した)98年の日本長期信用銀行(現新生銀行)の一時国有化は「高くついた」とよく言われるが、もしもその実態に目をつぶって他行と合併させていたら、ダイエーと同じように1〜2年後にはさらにひどいことになっていただろうし、他の銀行の経営も変わらなかっただろう。
 現在は、日本経済も銀行も、やっと水面上に頭を出した程度だ。まだ、どっちに向かって飛躍していいのかよくわからない、という状況のように見える。3メガバンクになったとはいえ、巨体をもて余して末端まで神経が回らない存在に終わるかもしれない。筋肉質に交われるのかどうかは、今後の各金融機関の努力次第だ。
 銀行同士の再編・統合と同時に、証券などとの複合化も進んできたが、資本市場と向き合いながら、日本経済を引っ張る存在になってほしい。国際的にトップ水準の金融機関を目指すなら、まずアジア市場で存在感を高めることが必要不可欠だ。これまで欠落してきた消費者に対するサービスの充実もきちんとやるべきだ。