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週刊エコノミスト 2005年5月10日掲載記事

経営者の自己責任を厳しく問う

 今回の会社法案は、経営者に対してより大きな経営上の自由度を与えている。会社がうまく機能する大前提は、取締役会や監査役会がきちんと役割を果たしていることだ。外部からの監視を受け、透明性の高い経営が実施されるとの精神の下に経営者に権限が与えられているとすれば、外部からチェックする役割を担う社外取締役・監査役が真に独立したものかに注目しなければならない。
 合併や組織再編についても、経営陣の判断で実施できるように規制が緩和される。合併対価に外国株を使うことは1年間凍結される見込みだが、本質は変わらない。その間に買収防衛策を各社が拡充することになる。買収を怖がって非常に高い「塀」を作るのは勝手だが、それに対しては市場が判断を下す。つまり、誰もアクセスできないような高い塀を作れば、株式を公開している会社として市場に評価されるだろうか。塀の高さは株主総会に諮られる事項だから、経営者と株主がその高さをどう判断するかだ。
 そこで極めて重要なのが、投資家をはじめとする証券市場の見識だ。取締役会が機能しているか否か、企業統治の体制が整備できているか否かを見極める能力がなければ、新会社法は機能しない可能性がある。経営者の暴走を許すことにもなりかねない。
 昨年10月、西武鉄道による有価証券報告書の虚偽記載を契機に、金融庁が同報告書の提出義務がある4538社を対象に実施した自主報告では、589社が訂正を行い、内容が深刻だった8社については上場している取引所から処分が下った。しかし、この8社の株価は、この影響を必ずしも受けたとはいえない。西武鉄道は変わった会社だといわれながらずっと証券市場に居続けたのと同じで、異物を排除する機能も市場には不可欠だ。
 これを改善するには、市場ルールの厳格化、それに監督当局の強化だ。米国のSEC(証券取引委員会)のような強い権限をもつ「日本版SEC」の創設を私は以前から提案している。証券取引所も厳格に対応すべきであり、「株式会社になったばかりでまだ早い」などと言っていては、取引所も社会の信認を得られない。

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