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朝日新聞-2000年9月20日付 5面

グッバイ官僚政治

 「日本は変わりつつあります」。今年一月、米国の証券取引委員会(SEC)とか国際会計基準委員会(IASC)にEメールを送り、こう売り込んだ。メールには、昨年暮れに自民党内の企業会計小委員会で私たちがまとめた会計基準づくりの改革案を載せた。

 なぜ、改革が必要か。金融機関の破綻後、実は債権超過だったというケースが相次ぎ、日本企業の会計報告や決済が、国際的な信頼を失っているからだ。

 これまで蔵相の諮問機関である企業会計審議会が基準づくりをやってきたが、大臣から頼まれた時だけ立ち上がるのでは、世界の流れに追いつかない。私たちは、専門スタッフを抱える常設の民間組織を作り、基準づくりをゆだねるという「民営化」を考えた。

 だが、大蔵省は「従来の審議会で何が悪い。強化すればいい」と、へ理屈を言った。審議会を一つつぶすのは権限縮小につながるというわけなんだろう。

 自民党ではこれまで、小委員会で政策の文章をまとめる時は、内容を役所と詰め、文書も役所が作るのが通例だった。今回は根幹部分で大蔵省がのまない。それじゃ話し合っても仕方ない。公認会計士や学者、海外の専門家ら十人ぐらいとEメールで意見交換し、私のパソコンで改革案作りを全部やってしまった。

 昨年暮れ、改革案の文章を仲間の国会議員に配った。さらに、大蔵省がのもうとのむまいと、私たちの政策を公開しようと考え、インターネットのホームページに載せた。

 ちょうどそのころ、世界の新しい会計基準を作るために組織改革を進めていたIASCの最初のメンバー選任があり、日本は代表を送り込めなかった。大蔵省も日本の会計制度に対する信用がないことが分かったんだろう。結局、私たちの改革案は来年度予算の概要要求に盛り込まれた。

 政治家が政策を作るのは当たり前なのに、なぜ「政策新人類」と言われるのだろうか。与党だから官僚を守るべきだという理屈はどこにもない。新しい制度、枠組みは政治家が先見の明をもって作らないといけない。

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