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週刊東洋経済「視点」-2002/09/07 号

構造改革の戦線再構築は「2001行革」を出発点に

新たな政策決定過程の構築に向けて、自民党国家戦略本部で私達が提案した「政治システム」について、国会で様々な議論が行なわれた。最終合意には至っていないが、日本が変わるには、政策決定過程の抜本改革が不可欠だという志を共有できたことは大きい。

「政治システム」では、与党による事前承認制の廃止や政調会長の大臣兼務のように、すぐに実現できるもののほか、「日本版ポリシー・ユニット」のような新たな制度導入も提案している。しかし、振り返ってみると、私達の提案の最大のポイントである「内閣と与党の一体化による政治主導体制の構築」は、実は、昨年1月から実施された橋本行革(今後は、「2001行革」と呼ぶことに決まった)でも最大の狙いだった。行政の透明化、簡素化、効率化に加え、内閣・官邸機能の抜本的強化による行政の総合性、戦略性、機動性確保は、最優先課題だった。だが、昨年初からすでに導入されながら、官僚主導から政治主導へパワーシフトさせるという橋本行革の原点は十分生かされていない。小泉首相がこの秋に「ニュー小泉」として構造改革の戦線再構築を行う際には、いかなる抵抗があろうとも、まずこの「2001行革」橋本行革の精神からスタートすべきではないだろうか。もちろんわれわれの「政治システム」の中での提案もできる限り取り入れてもらいたい。

橋本行革では、内閣府の新設、大臣スタッフの充実、内閣官房の機能強化を行った。内閣府は各省をリードし、特命担当大臣は「上位の大臣」として強力な調整権限が付与されたが、不良債権問題など経済政策を見れば、その成果は不十分だ。三人から五人に増やした総理補佐官は依然二人のみ、大臣を補佐するスタッフに民間人登用のため官房審議官制や任期付き採用も用意されたが、これを活用した大臣は皆無だ。また、内閣と運命を共にする特別職ポストも増やした。しかし、たとえば官僚の指定席だった内政審議室長、外政審議室長、調査室長を特別職にしたが、何事もなかったかのように、霞ヶ関のルーティン人事が続いている。特別職の総理秘書官も5人に増やしたが、相変わらず4省がポストを占めている。内閣広報官、情報官も特別職にしたが、民間人登用もない。官僚出身の官房副長官は5代の総理に仕えたままだ。

もっとも、単に官僚を排除せよ、というのは正しくない。むしろ政治家と「真の意味で優秀な官僚組織」との間の建設的な役割分担と、緊張感のある協調関係をどう再構築するかが大切だ。「政治システム」では強力な政治のリーダーシップを唱えているが、その大前提は政策を決める政治家たる首相や大臣が、官僚からも国民からも信頼されることが出発点だ。今こそ新しい時代にふさわしい、官僚と政治家の未来志向のベストコンビネーションが求められている。

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