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週刊東洋経済「視点」-2001/01/27 号

日本経済再生へ企業文化を変革せよ

1999年5月に本欄で「日本の会計制度に信頼を取り戻そう」と書いた。

相次ぐ金融機関破綻や、横行する事業会社の飛ばし行為を通じて露呈したのは、日本企業の財務諸表や監査の不適格さだった。日本の企業風土、政治・行政の姿勢、さらには国民性そのものに対する信用は失堕してしまった。

また、いったんは政府までが再建に乗り出しながら民事再生法を申請したそごうや、再生特例法で再建中の千代田生命などでも、破綻後に旧経営者の乱脈経営ぶりが次々に明らかになり、これまで公開されていた監査済みの財務情報は一体何だったのかと考えさせられる。会計報告にレジェンド・クローズ(督句)を付けよ、と海外から強要されるのも当然だ。公的資金投入やジャパンプレミアムの製品価格への転嫁などにより、常に国民がツケを払わされてきたことも忘れてはならない。

国際会計基準委員会(IASC)が国際会計基準設定への動きを加速させる中、このままでは世界の資本市場で日本企業が村八分になる、との危機感から、我々は99年夏、自民党内に「企業会計小委員会」を立ち上げた。手始めに会計基準設定主体の「民営化」を提言。米国に加え英・独などでも民営化が進み、日本も透明なプロセスのもとで経済実態を正確に反映する会計基準を設定する国にならなければ、新しいIASCに影響力を持ちえないと考えたからだ。実際、IASCの指名委員会委員7名のうち、アジアからは日本ではなく香港が参加することとなった。

しかし、各方面での理解も進み、我々の提言どおり新たな民間組織ができることになった。こうした変化を評価したIASCも評議委員会に日本から2名受け入れ、実際の基準作りを担う理事会にも1名入る可能性が出てきた。紆余曲折はあったが、従来の「企業会計審議会」に代わり、常勤者5人を含む15人程度の委員の民間組織が、最大20名の常勤スタッフとともに今夏までにスタートできそうだ。決め手は独立性と透明性。我々は正式な基準決定の場は公開すべきと主張している。初代のトップ人事にも世界が注目している。日本の信用回復への第一歩だ。

昨年10月に本誌掲載の拙稿「日本版SECを創設せよ」で指摘したように、当分は銀行貸し出しに期待できず、よりよいコーポレートガバナンス達成には株主の圧力が利く資本市場が必要で、さらに新規起業促進のためリスクテークの幅の広い本格的な資本市場が不可欠だ。そのためにもガバナンスを見透かす「窓」の中心としての会計や監査の一層の改善は必須だし、何よりも経営者自身に正直なディスクロージャーこそ中長期的には得だと認識してもらわねばならない。もちろん48年に定められたまま目的規定すらない公認会計士法は全面改正し、独立した強力な会計のプロを世に出していくべきだ。

いずれにしても、日本経済再生には、企業文化を変えうる資本市場の本格育成こそが最優先課題だろう。