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週刊東洋経済「視点」-2000/04/01 号

ネットが変える政策の作り方

経済企画庁が景気の「自律的回復」への胎動を指摘するようになった背景には、アジア経済の回復に加え、情報通信・IT関連企業の業績好調持続がある。米国経済絶好調の説明の一つである「ニューエコノミー論」が日本でも有効かどうか定かではないが、パソコンの急速な普及、iモード携帯電話を含めたモバイル機器の発達、はたまた「プレイステーション2」などハード・ソフト両面からのIT革命が日本でも経済・社会構造はもちろん、政治家の政策作りの手法と政策立案のヒューマンネットワークをも変え始めている。

昨年5月のこの欄で取り上げた会計制度の改革については、自民党内の小委員会での活発な議論を経て、まずは先進諸国並みの独立した常設で民間組織の会計基準設定主体を創設すべき、との中間報告案を昨年末にまとめた。日本の信認回復のために不可欠として公認会計士協会や経済界からも支持を得ているが、これまでの企業会計審議会の位置付けにも関わることから大蔵省の了解を得るに至らなかった。

しかし、一政党の提言として、私達は行政府と意見の完全な一致を見ずとも世にその信を問うべき、との判断から公表に踏み切った。担当官からは「ひどいじゃないですか」と言われたが、その言葉には、変わりつつある政策立案方法と、政治と官僚機構との関係についての様々な思いが込められていたと思う。

まず第一に、役所が了解していない内容が公表されたこと。確かに従来、自民党が公表する政策提言は、行政側が了解した内容だけの場合がほとんどだ。しかしいくら与党とはいえ、「官」が了解せずとも「政」がきちんと正しい方向性を打ち出すのは当然だろう。

第二は、今回のまとめに際し、論点整理メモ、たたき台ペーパー、最終ペーパーのいずれも、私のパソコンで私が準備し議員間の議論に供したため、大蔵省が初めて見る紙が毎回配布されることとなった。ワープロの打ち手が内容についても最終修正権を持ちがちであるのに、これまでの党の政策提言作りでは通常、役所にワープロを任せてきたのである。

第三は、我々政治家が外部の意見を多く聞いたこと。これはまさにインターネットだからこそなせる技でもあった。手の内を明かせば、今回の改革論議に際し、多くの方々からメールを通じてご意見を頂いたし、私が作った各種ペーパーも、いったんそうした方々にメールで送りコメントを頂き、それを加味して作成していった。たった2年前の「金融再生トータルプラン」のときは多くの方々に自民党本部まで来てもらって意見聴取をしたが、今回はネット上でたくさんの知恵と本音を授かった。

昨年、政策立案パワーアップの必要性を本欄で強調したが、そのための強力な助っ人の一つがインターネットになりそうだ。