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週刊東洋経済「視点」-1999/06/12 号

政策立案パワーアップが国を救う

週刊東洋経済
昨今、政党間での「実務者協議」なるものが国会で定着しつつある。この方式は昨年の金融国会の際、例外的に当選回数の若い議員が政策の「中身」を現場で詰める作業を行って以来特に頻繁に活用されている。

かつて「実務者」といえば「官僚」であって、政治家による「実務者」協議などそもそもあり得なかったし、実務的な話し合いを政治家同士が行う時にはバックベンチに役人が控えていた。しかし昨年の金融国会では極めて専門的な詰めの作業であったにも拘わらず、役人は陪席していない。こうした「官僚抜きの交渉」は、議院内閣制の下、「与党と政府は一体」と言われてきた我が国においても、今後重要な政策決定の場面で頻繁に登場することになると私は確信している。変化のスピードが増し、官僚機構の縦割りの発想では解決できない問題が累増する中で政策を正しく導くのは政治家の責任。日本でも英国などと同様、政治家主導の政策決定が定着する余地は十分ある。金融安定化策、トータルプラン等の策定の際に持ち寄った国会議員のアイデアの源泉は、殆ど全て霞ヶ関以外の独自ルートだったが、今後とも政治家が責任ある最終政策判断を下すためには、政治家の知識や情報収集・政策立案能力のパワーアップが図られる制度の確立がどうしても要る。

政策立案の第一歩は情報収集と政策選択肢の提示だ。ありとあらゆる政策課題に取り組む我々にとって必要なのは、本人に代わって情報収集し、それを基に政策立案できるスタッフの確保とそれを外部からサポートできる立法補佐体制の充実だ。かつて60名近いスタッフを抱えるロックフェラー米上院議員が「自分が最も知的刺激を受けるのは、自分の政策スタッフとの議論からだ」と述懐していたのが印象深い。

わが国の国政への国家助成額は先進国に比し遜色ないが、支給対象がバラバラで哲学にも欠ける。まず議員本人には歳費、文書通信交通滞在費、3人の公設秘書には秘書給与、所属会派には立法事務費、所属政党には政党助成金が各々支払われている。
国会議員の政治資金集めがしばしば問題にされるが、そもそも我々の最大の悩みは、国が3人分しか給与・社会保障面でカバーしていない中、平均10〜15人はいるスタッフとその家族の生活をどう守るかであり、本来の仕事である政策立案により重点を置くために是非とも以下のような工夫が必要だ。

第一に現行秘書給与、文書通信交通滞在費、立法事務費を職務手当に一本化し、その中から可能な人数のスタッフを社会保障面にも配慮して雇用する。第二に政党助成金は政策立案機能強化に重点化。これで節約できる分は、議員個人のスタッフ採用助成に振り替える。第三に学生等のインターンシップ制度を導入し、良質なサポートを得ると共に、若者の政治への理解醸成の機会とする。第四に現職公務員等が自発的に休職し、政党や会派、政治家個人の政策スタッフとして一定期間勤務できる雇用体制・慣行をつくる。第五に衆・参法制局等の立法補佐機関を今日の日本の国会や変わりつつある政策立案過程に即して充実する。第六に非営利、独立のシンクタンクを政策的に育成し、活発な政策議論を促進し、偏在・滞留する有為な人材の新たな活動の場ともする。

他にもまだまだあろうが、選挙を通じて国民に対し最終責任を負っているのは政治家であり、その政治家が政策を自分で作って初めて本当に責任がとれるのではないだろうか。