NO.704号 2012/03/29
障害者の方々が働きやすい制度に

昨年の12月25日に配信したメールマガジンで、耕作放棄地を借り受けて復活させ、農薬・肥料・除草剤を全く使わない「自然栽培」でコメや野菜を作っている松山市の友人達のことを紹介した。
松山市の南端にあるその農地では、作業する12人のうち10人は、就労継続支援事業B型事業所に通う精神障害者、身体障害者、発達障害者の方々。その農地には「自然栽培で作った米を欲しい」というリクエストが全国から沢山来るので、経営的にもとても上手く行っているという内容だった。
その際、就労継続支援B型事業所が農地での作業をする場合には、作業する場である農地に相談室、休憩所などの設置が自立支援法上義務づけられており、そのことがネックとなりとても不便、かつ利用者、すなわち障害者の方々の就労継続支援の妨げになっていることもお知らせした。
本当に自立支援法はそんなことを義務付けているのか、利用者の支援に支障がない場合にはむしろそんな義務付けは不要ではないのか、という疑問を持った私は、早速厚労省障害保健福祉部長さんに会館まで来ていただき、これまで何度かに渡り意見交換と説得を行ってきた。
その結果、本来の制度の趣旨上、利用者の支援に支障がない場合にはそうした付帯設備の設置は義務付けなくても差しつかえないという見解を厚労省として出してくれることとなり、早ければ今日にも全国に通知を発出してくれる運びになった。障害者の皆様のために多少でも役立てて嬉しく思うとともに、利用者の利便性を第一に考え、迅速に対応してくれた厚労省にも感謝したい。
「政治主導」「官僚主導の脱却」という言葉が政権交代以降踊っているが、役所の中にも国民の生活をしっかりと考えている優秀な官僚はたくさんいる。大事なことは、政治が国民と役所の間を上手につなぎ、双方にとってモチベーションと利益が上がるような結果をつくりあげることだろう。そんな政治の使命として当たり前のことが、昨今忘れ去られてしまっているのではないか。改めて考えさせられた一件だった。
いずれにせよ、今後も更により良い制度を目指し、障害者の方々の就労継続支援が益々実効の上がるものになっていくよう、微力ながら頑張っていきたい。
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