NO.695号 2012/01/15
消費税に逃げ込む野田総理

昨日、野田内閣が改造を行った。内閣発足後4ヶ月にして5人もの閣僚を替える改造を行なわざるを得なくなった、と解すべきだろう。消費税シフトのための「最善かつ最強の布陣」というが、相変わらず担当分野の素人を大臣に指名し、党幹部として機能しなかった人物を大臣に回すなど、総理の言葉が虚ろに響く。
消費税引き上げ問題にしても、経済力、国際競争力の減退、という日本が抱える本質的問題の根幹を捉えず、消費増税をしさえすれば、社会保障などあらゆる問題が解決するとの錯覚に陥っているとしか考えられない。申し訳程度に国会議員の定数削減、公務員給与引き下げや成長戦略に触れる野田総理の説明を聞いていると、国家の行く末が本当に心配になる。増税の時期や幅など具体策が決まっている一方、「日本再生戦略」の具体化はこれからだ、というのだから。
安倍内閣では「消費税から逃げず、しかし、消費税に逃げ込まず」との姿勢を明確にし、まずは歳出抑制、成長力強化、生産性向上を目指し、競争力回復と財政の健全化を目指した。野田総理は「逃げてはいけない」、「諦めてはいけない」というが、実は消費増税に逃げ込んでいるのだ。「社会保障・税一体改革素案」では、給付増など誰しもが喜ぶ政策は決める一方、年金制度の一元化、最低保障年金、生活保護費削減など、政治的に困難な国民負担増、給付抑制や給付カットは殆ど先送りし、単に増税だけを唱えている。
私は、「改革なき増税は失敗する」と思う。何の改革か、といえば、定数削減を含む国会改革、給与問題に矮小化しない本格的公務員制度改革、バラマキを含むあらゆる歳出の厳しい見直しを含む、トータルな行財政改革と、競争力強化のための産業構造改革だ。経済改革は、大きな意味で需給ギャップが大きいが故に生ずるデフレの根本解決への挑戦でもある。日銀がマネー供給を格段に増やすだけで解決するとは思えない、教育など、国のかたちを根本から変える問題だ。広い意味で国民の「納税力」を強化せずに財政再建は実現できない。
今、羽田の国際線ターミナルのラウンジ。これから深夜便でバンコク経由、ここに来て急速に変わりつつあるミャンマーに向かう。安倍晋三元総理が会長を務める「アジアの子どもたちに学校を作る議員の会」の仲間を一日遅れで追いかける。明日は、ミャンマーの首都ネピドーにまでヤンゴンから移動し、翌日、ティン・セイン大統領など、要人と意見交換をする予定だ。アウン・サン・スー・チー女史との面会もあるかも知れない。
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