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政策提言

2013/12/03 

原子力規制行政強化に向けての緊急提言

 福島原発事故の教訓と反省や、憲政史上初の試みだった国会原発事故調査委員会の報告をも踏まえ、私が座長を務める自民党原子力規制PTで設置法案が検討、作成され、昨年9月に発足した原子力規制委員会。以来、短期間のうちに新たな規制基準を作成するなど、原子力規制委員会とその事務局としての原子力規制庁が、懸命の努力を重ねて来た事は評価すべきだろう。

 しかし、国民と世界の原子力規制に対する「信頼と信認( trust and confidence )」を獲得するため、高い理念を掲げ、世界に通用し、安全を最優先する規制行政機関へと抜本的な変革を遂げなければならないにも拘らず、発足時に民主党政権が決めた人事の影響等もあり、国民の期待に十分応えていないのではないか、との声が少なくない。わが国の原子力規制行政に対する国内外からの信頼獲得に向け、さらに多くの改革と努力を重ねることが必要不可欠だ。

 そこで、わが原子力規制PTでは、この事態の打開に向けた緊急提言を取りまとめるため、去る9月18日以来12回に亘る有識者ヒアリングと意見交換を行ない、原子力規制行政の変革のための議論、検討を重ねてきた。

 まず、原子力規制委員会には、「独立」が「孤立」になっている、との指摘を踏まえ、国民や世界との接する基本姿勢をより開かれたものとしなければならないだろう。あらゆる関係者とのオープンなコミュニケーションの確立が必要だ。このため、米国NRCの「良い規制の原則」も参考にし、自らの「活動原則」に魂を入れ込んで欲しい。

 また、福島第一原発の廃炉に30〜40年間かかるとともに、使用済み核燃料等の安全な処理方法の確立も待ったなしであることもあり、わが国原子力関連技術レベルを維持向上させることが極めて重要でもある。そのためには、規制当局が優秀な人材を確保し、職場としても十分魅力的にしながら、職員の士気高揚に努める方策として、専門性強化策、人材育成や能力向上策、そしてそれら政策の有効性発揮に相応しい人事・研修制度確立などが喫緊の課題だ。

 12月3日開催した自民党・原子力規制PTで提言が了承された。さらに、今回の提言にもあるが、規制委員会があらゆる声に耳を傾ける第一歩として、田中原子力規制委員長にも申し入れを行うことを提案している。実現するかどうかが、委員会が真にオープンな存在に変わりつつあるかどうかのリトマス試験紙だ。

 原子力規制委員会が国民の「信頼と信認」を得、国民が再び安心の下に暮らすことができるよう、原子力規制委員会と政府には特段の対応を強く求めていきたい。今後自民党は規制委員会の生みの親として、引き続き緊張感を持って今次提言の実現状況をフォローし、原子力規制委員会の機能と信頼の向上を実現して行く覚悟だ。