2008/12/29(月) NO.501号
非常時モードの需要拡大予算が要る(12月29日)
26日の自民党都道府県連の幹事長・政調会長会議で、麻生総理が「08年度二次補正予算案と09年度予算案の成立に勝る景気対策はない。世界で最も早く不況から脱出し、21世紀の新しい国のかたちを海外に示していきたい」 と述べた、と報道されている。国会最終日の24日の代議士会でのご挨拶でも同様の考えを示されていた。しかし、通常国会で審議される予定の補正予算と来年度本予算だけでは、「100年に一度の危機」から脱出する事は到底できないと思う。
8月の「緊急総合対策」、10月の「生活対策」、12月の「生活防衛緊急対策」の対策合計規模は、ダブリを除くと、事業規模で約76兆円、いわゆる真水で11兆円に上るものの、多くは金融対策、雇用対策などのセーフティーネット策が中心であるが、肝心の「雇用創出」に不可欠な「需要拡大策」は、三つの対策全体の中で、せいぜい1兆円強程度しかない。
現実の成長率を見通すと、20年度、21年度ともマイナス1%程度というのが多くのエコノミストの見方であり、潜在成長率を1.5%とすれば、単年度の需給ギャップは2.5%で、完全雇用に近い状態にまで戻すには、一年分だけでも約13兆円規模の需要拡大策が必要であり、今回通常国会に上程される二次補正予算と21年度予算の1兆円強の需要拡大策では全く足りない。だからこそ、我々「速やか議連」は「骨太2006」の財政規律の「3年間凍結」と、「真水で合計20〜30兆円」、とりあえず21年度での「経済危機対応特別予算10兆円」を「未来投資」に限定して通例の予算の別枠として編成して年度内に一括成立させ、約150万人の雇用創出を急ぎ図るべき、との提言を行ったのだ(12月21日付「独り言」参照)。
26日発表された11月の鉱工業生産指数を見ても前月比マイナス8.1%と、統計を取り始めた1953年2月以来、過去最大の下げ幅を記録しており、まさに日本経済は急斜面を直滑降で滑り降りるように急速に悪化している。「不況」などという表現をはるかに超えている実態だ。生産減少に伴い、派遣切り、雇い止め、内定取り消しなど、雇用問題が既に相当深刻化していることが連日報道されている。職を失った被雇用者のための新たな雇用がない限り、事態は深刻化する一方だ。繰り返せば、1月に国会に提出予定の補正予算と本予算では需要拡大策としては合計1兆円強しかなく、とても景気対策にはならず、日本が世界で最も早く「不況」から脱出する事はできない。早急に本予算の別枠予算を10兆円規模で年末、年始を返上して追加編成する事を改めて提案したい。もちろん、別枠予算の中味は、旧来型公共投資のバラマキではなく、中長期的な日本の成長力強化や安心・安全社会実現などに向けた「未来投資」に限り、将来実行すべきものを前倒して行うのだ。財源も埋蔵金や政府資産などをフル活用し、国民負担を最小化しなければならない。
今こそ日本経済と国民の暮らしを守るために、政治が大きな決断をしなければならない。それも、タイミングを逸することなく、だ。
8月の「緊急総合対策」、10月の「生活対策」、12月の「生活防衛緊急対策」の対策合計規模は、ダブリを除くと、事業規模で約76兆円、いわゆる真水で11兆円に上るものの、多くは金融対策、雇用対策などのセーフティーネット策が中心であるが、肝心の「雇用創出」に不可欠な「需要拡大策」は、三つの対策全体の中で、せいぜい1兆円強程度しかない。
現実の成長率を見通すと、20年度、21年度ともマイナス1%程度というのが多くのエコノミストの見方であり、潜在成長率を1.5%とすれば、単年度の需給ギャップは2.5%で、完全雇用に近い状態にまで戻すには、一年分だけでも約13兆円規模の需要拡大策が必要であり、今回通常国会に上程される二次補正予算と21年度予算の1兆円強の需要拡大策では全く足りない。だからこそ、我々「速やか議連」は「骨太2006」の財政規律の「3年間凍結」と、「真水で合計20〜30兆円」、とりあえず21年度での「経済危機対応特別予算10兆円」を「未来投資」に限定して通例の予算の別枠として編成して年度内に一括成立させ、約150万人の雇用創出を急ぎ図るべき、との提言を行ったのだ(12月21日付「独り言」参照)。
26日発表された11月の鉱工業生産指数を見ても前月比マイナス8.1%と、統計を取り始めた1953年2月以来、過去最大の下げ幅を記録しており、まさに日本経済は急斜面を直滑降で滑り降りるように急速に悪化している。「不況」などという表現をはるかに超えている実態だ。生産減少に伴い、派遣切り、雇い止め、内定取り消しなど、雇用問題が既に相当深刻化していることが連日報道されている。職を失った被雇用者のための新たな雇用がない限り、事態は深刻化する一方だ。繰り返せば、1月に国会に提出予定の補正予算と本予算では需要拡大策としては合計1兆円強しかなく、とても景気対策にはならず、日本が世界で最も早く「不況」から脱出する事はできない。早急に本予算の別枠予算を10兆円規模で年末、年始を返上して追加編成する事を改めて提案したい。もちろん、別枠予算の中味は、旧来型公共投資のバラマキではなく、中長期的な日本の成長力強化や安心・安全社会実現などに向けた「未来投資」に限り、将来実行すべきものを前倒して行うのだ。財源も埋蔵金や政府資産などをフル活用し、国民負担を最小化しなければならない。
今こそ日本経済と国民の暮らしを守るために、政治が大きな決断をしなければならない。それも、タイミングを逸することなく、だ。
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