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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/12/21(日) NO.499号 

「平時モード」から「非常時モード」へ(12月21日)

 18日(木)の午前中に、中堅・若手グループ「速やか議連」の第3回会合を開いた。賛同者が増え、50人の議連となった。

 冒頭、雇用悪化問題に象徴されるように経済状況はいよいよ深刻化しており、こうした時こそ政策議論を深める必要がある事を改めて確認した。集まっている議員らの間では、政治姿勢や総合的経済政策、社会保障制度改革などについて危機感を持ってオープンな議論を行える場が党内にない、という基本認識で一致。さらに、このところ党内議論を封じるような雰囲気があるが、今から丁度150年前に起きた「安政の大獄」ならぬ「平成の大獄」のように、体制と異なる意見を持つ者を弾圧するような愚を繰り返し、党組織も国も弱くすることのないよう注意喚起する。

 ムダ撲滅機能がビルトインされた党内政策立案組織への脱皮など党改革の必要性を始め、幅広い意見が今回も出されたが、何と言っても経済危機をどう乗り越えるかが最重要優先課題であることで一致した。

 「100年に一度の危機」に備え、まずは全ての発想を「平時モード」から「非常時モード」に切り替え、あらゆる対策を躊躇なく打っていかなければならない。その象徴として、まず内閣に「経済危機・緊急雇用対策本部」を設置し、政府としての覚悟の程を示すべきだろう。政治には姿勢、構えが大事だ。もちろん自民党にも同様の「対策本部」を設けるべきだが、これについては19日(金)、「生活防衛緊急対策本部」を設置する旨の連絡が党所属国会議員全員に来た。98年の金融危機の際には、「金融再生トータルプラン調査会」を立ち上げて土地対策から銀行監督行政まで、まさにトータルな政策立案、法案作成を行ったし、その上に歴代総理経験者を顧問に頂く重たい会議も作られた。98年当時に比べ、今回の不況の方が遙かに深刻であるにも拘わらず、政治の動きが鈍い。

 もう一つ重要な提案を行った。この未曾有の経済危機に対する非常時の政策として、「骨太2006」の歳出カット原則を「3年間凍結」し、緊急かつ一時的な財政出動を行う事だ。我々のメンバーの殆どが小泉・安倍内閣の経済政策を推進してきたいわゆる「改革派」だが、それを前提としても、財政健全化路線の政策転換ではない「一時凍結」と、一定の「非常時対応」を認めなければならないほど、今回の危機は深刻だと考えている。雇用と国民生活を守るためには、需要創出が必要であり、国内外とも当分の間、民間需要は期待薄。となれば「骨太2006原則」の精神はあくまで堅持しながらも、緊急対応として一時的な財政出動するしかないはずだ。オバマ政権や欧州各国も同様の認識から財政出動による経済対策を既に打ったか、打つ予定だ。もちろん単なるバラマキや無駄遣いの復活による改革後退は許されない。基本路線を守りながら、非常時緊急対応をするのだ。

 より具体的には、「骨太2006原則」を堅持する通常予算枠に加え、「経済危機対応特別予算」を組むことを提案した。別枠予算を組む事により、どさくさ紛れの旧来型公共事業などへの先祖返りを回避し、中長期的な日本の成長力強化や安心・安全社会実現に向けた「未来投資」に限って集中投入をし、潜在成長力をアップして日本経済の活力アップ、暮らし向上、そして将来の財政再建につなげていく発想だ。低炭素革命、情報インフラ整備、教育・研究開発力強化、耐震、医療・介護・子育て支援など、21世紀の新たな日本社会形成に必要な投資のみを「未来投資」の対象としなければならず、特別予算として、透明性を高めて政治のリーダーシップで配分すべきだ。

 当然財源については、国民負担を増やさないよう、政府のムダ撲滅、国会議員定数削減・歳費カット、公務員給与カット、「天下り」「ワタリ」の原則禁止による人件費節減、埋蔵金活用、政府資産売却、国有資産担保借り入れなどを優先的に行い、公債発行額を極力抑制してプライマリーバランスの悪化を最小限に食い止める。ここは改革路線を堅持しなければならないところだ。

 3年間の特別予算の規模は、「真水で20〜30兆円」は必要で、うち20年度補正および21年度の一体型予算として、「真水10兆円」を当面用意すべきではないか。エコノミスト達の本音を聞いても、20年度、21年度とも連続して少なくとも1%程度のマイナス成長が予想される。とすれば、ゼロ成長に戻すだけでも2年間で約10兆円が必要だし、潜在成長力を1.5%としてそこまで成長力を引き上げ、完全雇用状態にまで戻すには、さらに2年間で15兆円、合計25兆円は必要だとのソロバンがはじける。日本初の世界大恐慌を起こすな、と世界から言われた98年度は、確かにマイナス1.5%成長だったが、世界の成長と日本の経済対策効果で99年度は0.7%のプラス成長に転じている。しかし、今回は来年も欧米がマイナス成長であり、中国等新興国経済も大幅スローダウンする事を忘れてはならない。
 
 会合の後、議連メンバーは舛添厚生労働大臣を訪ね、雇用対策として雇用促進住宅だけでなく、国・地方の公務員住宅の空き室も離職者に提供することなどを申し入れた。

↓舛添大臣への申し入れ(12/18)の様子についてはライブレポートから↓
(携帯)http://www.y-shiozaki.or.jp/i/livereport/index.php
(PC) http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/index.php

 今回は経済政策の提言だったが、今後議連としては、@政治姿勢、A経済危機対応策、B社会保障制度改革、の3分科会を立ち上げる事を決めた。経済・景気は目を離せない上、このところ公務員制度改革や天下り問題などで、国民の不信を買ったり、期待はずれになりそうな政府部内の動きもあるようだ。我々は今後も、国益上の必要性に応じ、機動的に行動していくつもりだ。