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やすひさの瓦版 Yasuhisa's Kawaraban やすひさの季刊誌をまとめています

2021/02/19

やすひさの瓦版119号

「平時」から「有事」へのモード転換を急げ

 日本は、「有事」にあっては、よりスピーディに変化できる国にならねばなりません。そうすることで、初めて松山、愛媛を含め、地域経済の活力も回復可能になると思います。
 年末年始、自宅療養中や入院調整待ちのまま容体が急変、人知れず亡くなる方々が続きました。国民皆保険制度が完備された日本で、あってはならない事でした。
 新型コロナ感染症は無症状や軽症でも、時に急に症状悪化することがあります。自宅では家庭内感染が起きますから、陽性者は原則、全員隔離されるべきです。しかし、今回はコロナ病床も殆ど満床。次の選択肢として「宿泊療養施設」がありますが、緊急事態宣言下の自治体でも3〜4割の占有率、全国では1割強に過ぎず、多くの空き部屋があったのです。要は、陽性者が急増して保健所がパンク状態となり、多くの方に自宅療養・待機をお願いしていたのです。その際の大問題は、「平時」の発想のまま、陽性判明とともに感染者は保健所の管理の下におかれ、「かかりつけ医」から断絶され、医師の診断を受けることなく亡くなる、という不幸な事案が続出してしまいました。深く反省しなければなりません。
 病床逼迫が起きてしまった入院のあり方に関しても、「平時」の発想のまま、全国で「薄く、広く」あらゆる病院で、入院を進め、皆が疲弊し、本来の日本の医療の力を発揮できませんでした。
 本来、知事の司令塔の下、病院の診療能力に応じた「選択と集中」を行い、重症・中等症・軽症・無症状に応じ、大学病院から仮設簡易病院や宿泊療養に至るまで、あらゆる形態で柔軟に患者収容し、重症者・軽快者は臨機に病院間を移送するという、「有事体制」に一気に移行すべきです。厚労省も、2月中旬に至り、漸く私達の考えを受け入れました。
 変異株問題が国民の心配の元となっています。これも「平時」の発想で、東京の国立感染症研究所一か所に検体を集中させてゲノム解析を行う、という硬直的な発想のままでは解決できません。ここは「有事体制」に切り替え、地方の大学医学部等の力を活用し、データは感染研に一元管理しながらも、ゲノム解析と臨床への情報還元は地域ごとに行い、時間と能力をフル活用すべきです。「ウィルス変異」は国内でも絶えず起きています。そして「有事」には「総力戦」で臨むべきです。
 既に私達は昨年6月、自民党行革本部として「感染症危機時の国家ガバナンス」のあり方を提案、1.「有事」には国が司令塔となる、2.保健所中心の「公衆衛生」と通常の「地域医療」を有機的に一体化させる、3.感染症データは国が一元管理・開示を徹底する、との抜本改革案を示しましたが、第3波を経験し、今、その有効性は一層明確になりました。
 第4波以降に備えるためにも、今こそ、再度の法改正を含め、本格的な「有事体制」にモード転換すべきです。