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政策提言

2006/09

「政策提言 リーダーシップをもつオープンな日本へ」の公表にあたって

世界は、一段とボーダレス化し、中国やインドなど新たなプレーヤーが加わり、本格的な大競争の時代を迎えております。その中にあって日本は、未曾有の少子高齢社会に突入し、人口の減少すら始まりながらも、「失われた10年」を脱して経済は活力を取り戻しつつあります。

しかし、日本や日本人は、その持てる本来の力を十分発揮し、その経済力などに見合った責任と役割を十分果たしているとは言えない状態にあると思います。例えば、国連での立場を考えてみても、分担率については19.5%と、米国を除く常任理事国4カ国の合計(15.3%)を上回る財政的貢献をしながら、世界の安全保障政策形成には、数年おきに非常任理事国として2年間貢献するに止まっています。先の北朝鮮によるミサイル発射に際して国連安保理決議採択までに日本が確固たる姿勢を示したように、今後、日本は、「リーダーシップ」をもってあらゆる国際秩序形成に関わる責任を果たしながら、世界とともにより力強く繁栄し、同時に貧困撲滅、平和構築など様々な貢献をしていくことができるはずですし、国連の常任理事国としての資格も充分有しているのではないでしょうか。そのためにも今改めて、足許の日本を見つめ直し、何をなすべきかじっくり考えよう、こうした明日の日本への思いからこの委員会の設立を呼びかけることにしました。

このような外務省からの呼びかけに対し、幅広い英知を代表する方々が応えて下さり、「世界の中の日本・30人委員会」が発足致しました。同委員会においては、6回にわたる会合、インタビューを経て、現行制度上の隘路は何か、政策上何が欠けているかなどを明確にした上で、制度や政策の面で具体的にどのような対応が必要か、従来の外交政策の狭い枠にとらわれない政策実行型の積極的な提言をとりまとめました。

この提言が目指している日本の姿へ向けた取組みは、未知の世界へと向かう旅とも言えます。日本がすでに世界第2位の経済大国の地位にあり、また多様性と発展のダイナミズムに躍動するアジアの中にある以上、これまでのように単に欧米を後追いすることによってのみでは新しい日本の進むべき道は開かれません。もちろんそれは歴史の知恵や、諸外国の経験を鏡として日本を見つめ直すという知的作業を排除するものではありません。予め書かれた処方箋はありませんが、他国の経験なども踏まえて、日本のとるべき行動を前向きに考えていくという作業は必要です。また、躍動するアジア各国の姿から日本を見つめ直すという視点も、今や欠かせません。

必要な行動がこの提言に尽くされているわけではなく、また、ここに掲げられた行動の全てに委員全員が賛成しているわけではなく、この提言は、むしろこうした視点を踏まえながら、委員の間で行われた活発な議論自体の概要をとりまとめ、国民的な議論の参考に供するものとご理解頂ければ幸いです。ここで示された提言を外務省としても真摯に受け止め、真剣かつ迅速に取り組んで参る所存です。もとより政府全体としての取り組みにも大きな期待をしております。

日本を一層「オープン」にしていくことは、場としての日本の魅力を高めていくために不可欠と言えますが、これら提言が実現していく過程では、日本社会は大きな変化を経験することになります。しかし、変化に対して充分な備えを行いながら、日本が構造改革により「失われた10年」から再び新しい姿で蘇りつつあるこの時機を逸することなく、取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。そして、日本人は、その長い歴史の中で、変化を恐れるよりこれに凛々しく立ち向かい、新たな時代を切り拓き続けてきました。この提言が明日の日本を築くための国民的な議論の中に一石を投ずるものとなることを期待してやみません。

平成18年9月
外務副大臣
衆議院議員 塩崎恭久