2014/01/31
平成26年1月31日 衆議院予算委員会議事録
○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。
野田聖子総務会長に続いて、質問をさせていただきたいと思います。
先ほど来お話がありましたように、政権に復帰いたしまして二年目ということで、この道しかないという道を、去年、まさに仕込みの年として一年間、安倍総理を先頭に、我々自公政権が頑張ってきたわけでありますけれども、ことしはその仕込んだものを結果を出していく、そういう大事な年ではなかろうかと思いますし、これは自公民で決めた消費税の引き上げが四月からあるわけでありますけれども、それをも吹き飛ばすような勢いで、新しい日本をつくっていくということをやっていかなければならないというふうに思います。
今回の、先ほど来お話が出ているオリンピック、パラリンピックが東京に二〇二〇年にやってくるということを決めるに当たって、やはり心を一つにして当たった、総理を先頭に当たったということがあの大きな成果をもたらしたということでありますから、ことしも、結果を出す年、そのときに当たっては、やはり心を一つにしていくことが大事じゃないかなというふうに思います。
また、当然のことながら、これはもう総理も私どもの幹事長も何度も言っているように、やはり丁寧に、そして謙虚にやらなきゃいけませんし、私も今、予算委員会の自民党の筆頭理事をやっておりますが、予算委員会の運営に関しても同様にやっていきたいというふうに思っております。
まず外交でありますが、先ほど、総理が元気なのでびっくりしているという話がありましたが、まさにそのとおりでありまして、外遊、既に十六回、特にバイの訪問国が二十八カ国ということで、民主党政権の三年三カ月のときのバイの訪問国というのはたった四カ国であります。
したがって、最近は国際会議に行っても、もう顔なじみになっている方がたくさんおられるものですから、会議の雰囲気もとてもいいという話を聞いているわけであって、人間というのは世界じゅうどこへ行ったって同じでありますから、やはり個人的な人間のつながりというのが基本、そういうことを考えてみれば、いわゆる地球儀を俯瞰する外交というのはどういうふうにことしはなるのか、その意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、塩崎委員がおっしゃったバイというのは二国間という意味であります、改めて、ちょっとわかりやすく述べさせていただきたいと思いますが。
十六回海外に出張いたしまして、三十一カ国を訪問いたしました。そして、それ以外にも多くの外国の賓客が日本を訪問いたしまして、電話会談も含めれば百五十回以上首脳会談を行ったところでございますが、日米同盟関係を強化する、日米同盟関係というのは日本の外交、安全保障の基軸であります。そして、アジアは大切であります。ASEANの国々、一年間で全てのASEAN十カ国を訪問し、そして、年末には特別首脳会議を開催したところでございます。
残念ながら、中国、韓国の首脳と首脳会談を開催できていませんが、中国においては、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って関係を改善していきたい、こう思っておりますし、韓国については、大局的な観点から、未来志向で重層的な関係を築いていくべく努力をしていきたいと思っております。
また、日本にとってほとんどのエネルギーを中東に依存している中において、GCC全ての国を訪問させていただきました。こうしたエネルギー外交、さらには、インフラ輸出を進めていく上においてもトップセールスが大切でございますので、そういう意味における経済外交も展開をしてきたところでございます。
さらには、日本が、国際協調主義に基づく積極的平和主義によって、世界に対して今まで以上にその安定と平和の維持のために貢献をしていくということを発信していきたい、こう考えているわけでございますが、その観点からは、国連における演説、あるいはダボスにおけるスピーチ等で積極的に発信をしてきたところであります。
まだ訪問していない主要な地域としては、中南米あるいはまた大洋州等があるわけでございますので、そうした地域を訪問したいと考えているわけでございますし、またヨーロッパにおいては、イギリスとそしてポーランドには参りましたが、まだほかの国々、たくさん残っているわけでございますので、そうした国々もぜひ訪問しながら、日本の国際社会におけるプレゼンスを高め、国益を確保していきたいと考えているところでございます。
○塩崎委員 ありがとうございました。
トップセールスといえば、オマーンには私ども愛媛県の紅まどんなを持っていっていただいたというふうに聞きまして、大変ありがたく思っておりますし、また、トルコの首相のときにも出していただいたというふうに聞いております。
いずれにしても、各地の名産品を必ず何か持っていっておられるという、フードフェアみたいなことをやっていらっしゃるように聞いておりますので、ぜひ、地域を元気にする、地方を元気にするという意味で、さまざまなそれぞれの名産品を売り込んでいただきたいと思います。
ことしの一月の八日から四日間、日米議連で訪米をしてまいりました。中曽根会長、それから小坂憲次幹事長、私が事務局長、本当は民主党の長島事務局次長も御一緒されるところでありましたが、残念ながら、都知事選などの関係で出られなかったんです。我々三人で行ってまいりました。約二十名余りの議員に会い、久方ぶりにドアノックをやってきたということでありまして、やはりこれが基本なんだろうなと。
一方、翻って、アメリカからどうかというと、かつては、日本を飛ばして中国へ行くという議員が多いとよく言われていましたが、実は、去年初めて、上院議員九人、下院議員十七人、合計二十六人のアメリカの議員が日本に来て、これは最多数、今まで一番多かった議員の訪問数だというふうに思っております。
そういうふうに、お互いの議員が行き来をする中で重層的な外交を広げていくということが大事であり、総理も下院議員の一行にこの間お会いをいただきましたし、それから、将来の共和党の大統領候補と言われているルビオ上院議員にもお目にかかっていただきました。二月には、我々のカウンターパートの議連の一行が参ります。それから、ロイス下院外交委員長一行も来ます。さらに四月には、アスペングループというのが、また割合多い人数で多分来ると思います。
かなり来るようになってきていただいているんですけれども、これはなぜだろうか。
考えてみると、やはりこれは、強い日本の復活というか、独自の日本の復活を見て、それをまた予感して、それで関心を持って来てくれているんだろうと思いますし、この間アメリカに行ったときに、やはり向こうから出てくるのは、経済的に最も影響力があり強い国であってほしいと、日本について思っているわけでありますし、何よりもやはり経済だと。経済、経済、経済と日本語で言ったアメリカの識者もいたぐらいであります。
結局、外交も安全保障も、何においてもやはり経済が強いということがまず第一の条件であって、そういう意味で、今、アベノミクスがやっていることは大変、全ての面で意味があるというふうに私は思っております。
そこで、きょうは経済を中心に御質問させていただきたいと思います。
まず、第一の矢と第二の矢でありますけれども、第一の矢につきましては、実質金利が高かった、あるいは円高だった、そして、実物投資をしても損をする、価格が下がるから。ですから現金を持っていた方がいい、こういう言ってみればデフレの縮小均衡だったのを、黒田日銀が、まさに人々の期待を変えて、これについてはいい方向に向かっていると思いますが、問題は、大胆な金融政策をやるときには、やはりきちっとした財政の規律というものがなければできないわけであって、そうでなければ、国債は売れません、長期金利は上がりますというふうなことになる。
そういう意味で、財政再建については目標を立て、まず来年度までに対GDP比で半減、そして二〇二〇年に黒字化ということであります。
来年はどうも達成はできそうでありますけれども、心配なのは、二〇二〇年に黒字化というのが、どうも今のままいくと、この試算でいきますとマイナスの一・九ということで、かなりギャップがあって、これについては来年になって本格的に考えるということになっていますけれども、もちろん、アベノミクスで経済がどれだけ成長するのか、その他どういうふうに歳出を改革していくのかということでありましょうけれども、やはり来年まで待つというのでは、ちょっと心もとない。
そういうことであるということになると、どういう意気込みで黒字化に向けての取り組みあるいは道筋を考えておられるのか、この決意のほどを聞かせていただきたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 政府としては、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでいるところでありまして、平成二十六年度予算では、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現いたしまして、新規国債発行を一・六兆円減額しているわけでありますが、これはもう委員御承知のように、この幅の改善というのは過去二番目の高さでありまして、一番高かったときは六・八兆円、これは平成十九年、委員が官房長官のときであります。そのときが六・八兆円、今回は五・二兆円であったわけであります。
財政健全化に向けて、着実に今、歩みを進めているところでございまして、当初予算で見ますと、民主党政権において編成された三回の予算で、一般会計の基礎的財政収支は十一・八兆円悪化したわけでありますが、その後の内閣のもとで編成した予算で六・九兆円改善したわけでありまして、引き続き、二〇一五年度における国、地方の基礎的財政収支の赤字、対GDP比半減に向けて財政健全化の取り組みを進めていきたい、このように考えているわけでございます。
二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、中期財政計画に沿って、基礎的財政収支対象経費と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の取り組みを強力に進めていかなければならない、このように思っています。黒字化目標の達成については、今後、二〇一五年度における財政状況等を踏まえて経済、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的な道筋を描いていきたいと思うわけであります。
基本的には、デフレ下にあっては財政再建というのは、税収が伸びないわけでありますから、これはできないわけでありまして、だからこそ、デフレから脱却し、同時に経済を成長させて、税収をふやしながら無駄遣いをなくしていく。さらには、消費税をことしの四月から引き上げていくということによって税収増を図っていく。我々は、この道しかない、こう考えているところでございます。
○塩崎委員 成長と財政再建の好循環ということを甘利大臣なんかはいつもおっしゃっているわけでありますし、総理もそのとおりおっしゃっていますから、これをどうやってつくっていくか。
前回申し上げましたけれども、やはり、社会保障それから行革、これらについては、どこかで腹をくくって大胆なことを決めなきゃいけないことが来るんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、引き続き議論してまいりたいと思います。
足元の財政という意味では、安倍内閣のやっていることについての誤解の一つに、しょせんは公共事業による回復じゃないか、こういう意見があります。この間の海江田代表の代表質問でも、財政出動による公共事業の大盤振る舞いというふうにありました。
ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、いろいろ統計のトリックがありまして、例えば、民主党時代に一括交付金というのがありました。実態は公共事業なんですけれども、そうじゃないようにしてほかに振っていったというのを、ちょっと棒グラフで足してみたり、それから今回、実は、公共事業の特別会計、それを一般会計に繰り入れることにしました。したがって、それは今伸びているように見えるけれども、六兆になっていますけれども、実はこれは本当は五・四兆、今までのものでいけばですね。
そうして見ると大体微増ぐらいなところであって、中身を精査しながら、やはりやるべきことはやっていく、しかし、抑えていかなきゃいけないということだろうと思うんです。
そこで、大事なことは、総理みずからが、去年の一月に所信表明演説の中で、「財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。」こう明言をされておりました。この基本方針は変わらないかどうか。この決意をしっかり聞いておかないといけないと思います。
○安倍内閣総理大臣 安倍内閣発足以来、デフレ脱却、経済再生を最重要課題として、第一の矢である大胆な金融緩和とともに、第二の矢として大規模な平成二十四年度補正予算を直ちに編成するなど、全力を尽くしてきました。こうした取り組みによって景気の回復が進んでいるわけであります。
他方で、我が国の財政については、巨額の公的債務が累積するなど大変厳しい状況にあると認識をしているわけでありまして、こうした中で、我が国経済の持続的な成長を実現し、経済再生と財政健全化を両立させていくために、いつまでも財政出動に頼るわけにはいかないと考えておりまして、それは今も全く変わっていないわけでございます。
平成二十五年度補正予算では五・五兆円の経済対策を実施することとしておりますが、これは、消費税引き上げに伴う反動減を緩和して成長力の底上げを図るためのものでありまして、そうした中で、民間の創意工夫を促し、我が国企業の競争力を強化する施策などに重点化をしているわけであります。
また、こうした措置に加えて、成長戦略を強力に進めていく考えでありまして、成長の主役はあくまでも民間経済でありまして、今後とも、規制改革などあらゆる施策を総動員して、民間の投資と消費が持続的に拡大する経済成長を目指していく考えであります。
○塩崎委員 ありがとうございました。
次に申し上げたいと思うんですけれども、去年の十二月に、ドイツのシュレーダー前首相を私ども、日本に招待いたしまして、講演とパネルディスカッションをやりました。そのときのタイトルは、アベノミクスへの提言というのでお願いをしたわけであります。
ドイツは、皆さん御存じのように、九〇年代の後半は、欧州の病人と呼ばれるぐらい、経済はへたっておりました。それが今や、欧州最強の牽引役というふうになっている、元気な経済になっているわけでありまして、それがまさにシュレーダー改革によってもたらされた。メルケルさんは、言ってみれば、その効果を後で享受して、いい割を食っているということであります。
九八年にスタートしたシュレーダー政権、たしか二〇〇三年だったと思いますけれども、アゲンダ二〇一〇という構造改革のパッケージを発表しましたが、次々といろいろな改革を打っていきました。労働組合をバックにしていながら非常に雇用政策についても切り込んでいって、大変大胆な改革をやったことは皆さん御存じのとおりだと思うんです。
そのとき、安倍総理へのアドバイスはどうですかということをパネルディスカッションで聞きましたら、彼が瞬時に言ったことは、やはりトップダウンによる改革断行しかないよ、自分はそうしたということで、国益のためにトップダウンでやれということで、ボトムアップでは議論が堂々めぐりになって成り立たないということであります。
政治家が必要な決断を下すということが必要であって、私からも、ぜひ総理には、国益のために全てをかけて、ひるむことなくリーダーシップを発揮してもらって、もちろん、各方面の理解は最大限の理解を得られるように努力を絶えずしながら、しかし、引き続きトップダウンで頑張ってもらいたいというふうに思っています。
もう一点は、去年一年間、株価が随分上がったのはもう御案内のとおりで、きょうもちょっと上がっていますが、去年一年間で、では誰が株を買ったのかというのを見てみると、御存じかと思いますけれども、実は、外人が十五兆円の買い越し、それに対して日本の個人の投資家は九兆円の売り越しであります。日本の金融機関は、さらに十一兆円の売り越しをしている。つまり、日本の国内の投資家は、かなりの部分、投信は買っているかもわかりませんが、かなりが売って、そして外人が買ってこれだけ上がってきているということを、我々は忘れてはならない。実は、一月に入って三週連続、外人は売り越しになっています。
ですから、これは非常にこれから気をつけなければいけないのであって、何を意味するかというと、やはり、外人の投資家に向かっても、アベノミクスはぶれずに進めていくというメッセージを強く出すこと、それと、国内はまだ慎重になっているわけですから、これなら確実に大丈夫になるなということをわかってもらうようにしていくことが大事なんだろうと思うんです。
この間、ダボスで初めて日本の総理として冒頭の演説をやられました。初日に御案内をいただいたというのは初めてだと聞いておりますけれども、その講演の中で力強くアベノミクスについて主に語っていただいたわけでありますけれども、強烈なメッセージだったと私は思います。
とてもよかったと思いますが、一方で、これは世界に対してメッセージを送ったわけですから、言ったことはやらなきゃいけない。まさに言ったことはやらなきゃいけないのであって、それを念頭に、それもやはりスピード感というのが大事だと思うんですね。発信をして、やるぞということをたくさん言っていただきました。ですけれども、向こうは、じゃ、すぐやるんだなと必ず思いますから、そのスピード感がずれると、買い越しが売り越しに変わってくるということになるんだろうと思います。
これから、法人税の問題、岩盤規制の問題、コーポレートガバナンス、それからGPIFの問題についてお話をしていきたいと思いますが、まずは法人税であります。
ダボスでのスピーチでは、もう何度も引用されていますけれども、国際相場に照らして競争的なものにするということと、本年さらなる法人税改革に着手をいたしますということでありました。誰しもが、法人実効税率を引き下げるんだな、その決意だなというふうにとったと思います。
それから、一方で、与党の税制改正大綱や成長戦略進化のための今後の検討方針など、あるいは、麻生大臣が諮問会議でお出しになったペーパーなどでは、やはり、政策税制の抜本的見直しを含めた課税ベースの拡大、そして他の税目での増収ということで、税収を考えた上での減税ということをおっしゃって、レベニュー・ニュートラルということなんだろうというふうに思います。
それに対して総理は、一月二十日に諮問会議で、法人税の議論に、レベニュー・ニュートラルの考え方にこだわらないというふうにとれる御発言をされておりましたし、諸外国で、減税をしたけれども、オーバータイムでは、何年かにわたって見れば税収がふえているじゃないかということもあるので、実例を検証しろ、こういうふうに指示をされたというふうに聞いているわけであります。
私も、いつも税調で何年も議論をしていて、よく単年度の減収額というので政策を判断していますけれども、これで本当にいいんですかということは何度も言ったことがあります。やはり、ある程度モデル的な、複数年度にわたってダイナミックに、スタティックというか静的にじゃなくて、動的に物事を考えて、その政策効果をどうするのかということをやるべきじゃないかというふうに私としては主張してまいりましたけれども、まさにそういうことではないかなというふうに思います。
そこで、総理に御質問は、今申し上げたような趣旨で、このレベニュー・ニュートラルに必ずしもこだわらずに外国の例なども検証してみろということをおっしゃったのかどうか、あるいは、民間議員の皆さんは二〇%台のことを言っているわけですけれども、そういった方向について考えていらっしゃるのかということについて少し、いろいろな意見がありますので、この法人実効税率の引き下げ問題について、改めてその肝を聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 昨日の諮問会議の特区の部会において、竹中委員から、ダボスにおいてキャメロン首相が法人税の実効税率を二〇%にしますと言ったときに大変どよめきがあったという紹介をされました。同時に、イギリスは二〇%消費税というものを、軽減税率がどんとありますが、持っているのも事実であります。
この法人課税の改革については、与党でも議論をいただいているところでありますが、政策効果もしっかりと検証していただく。また、課税ベースの拡大や他税目での増収策の検討といった論点が示されているところでありますが、日本経済の活性化のためには、産業構造も含めた大きな議論が必要であります。そういう議論を行い、グローバル経済の中での競争等も考えながら法人課税のあり方を検討していくことは重要と考えております。
本年、さらなる法人税改革に着手したい、こう考えているところでありますが、先般の諮問会議においては、いわば、ある程度のスパンをやはり見ながら、実際どうだったかという検証もしてみる必要があるだろうと。いわば、法人税率を引き下げていくと、本当に、ある程度の期間においてはファクトとして税収が伸びているのかどうか、それを行った国等の検証をやっていく必要があるだろう。私も、雲をつかむような話でただ下げろというわけではなくて、これはアカデミックなアプローチでしっかりとその検証を行っていただきたい。
そういう中において、もし、その検証していく中において、そういう政策的効果ということであれば、今までのレベニュー・ニュートラルという考え方とは別に、もうちょっとダイナミックなアプローチがあるのではないかという趣旨の話をしたところでございまして、法人課税については、こういう幅広い論点について議論を行っていく必要があると考えているわけでございますが、財務大臣とも相談をして、政府税制調査会において、専門的観点から、法人実効税率のあり方、課税ベースのあり方、政策効果の検証、他の税目との関係などについて、来月にも検討を開始させたいと考えているところであります。
○塩崎委員 ぜひダイナミックな議論をしていただいて、みんなでやはりこの国をどうしていくのかを考えていきたいというふうに思います。
次に、昨日、今お話があった特区の諮問会議がございましたが、そこで基本方針の案というのが出てきたようであります。そこで、岩盤規制全般について速やかに具体的な検討を加えて、関連する障害をあぶり出して、国家戦略特区を活用して規制・制度改革の突破口を開いて、経済成長につなげることを目標とするということを言っているようでありますけれども、この間、二十九日の代表質問の答弁では、今後二年間を集中取り組み期間として、規制改革の突破口である国家戦略特区を活用するなど思い切った改革を行っていきますということをおっしゃっています。
質問でありますが、これは、今後二年間で、少なくとも特区においては残された岩盤規制を全て処理していくというふうにとっていいのかどうかというのが一つ目。
二つ目は、きのう岩盤規制のリストというのが出てきたようでありますけれども、聖域なく取り組むとしているこのリストの中には、労働規制、全国でないとだめだとか、いろいろなことがある労働規制も入っているのかというのが二番目。
三番目は、これから区域指定などをやっていきますし、いろいろな議論が行われて、この改革について、特に規制改革と税制についていろいろ出てくると思いますけれども、今度、今国会中に特区法の改正法案が国会に出てくるという可能性はあるのかどうか。
この三つについてお伺いをいたしたいと思います。
○新藤国務大臣 国家戦略特区の担当大臣を仰せつかっておりますので、私の方からお話をさせていただきたいと思います。
まず三つ、今御質問いただきました。
最初の、二年間で全ての岩盤規制に取り組むのか。これは、そのかたい決意を、きのう、この特区の基本方針の中で定めたところであります。これは積極的に取り組んでまいろう、こういうことを皆さんで共有いたしました。
それから、労働規制も入っているのか。これも、今まさに、そういったものも入っているということであります。この労働規制につきましても、これはあらゆる分野を聖域視せずに、いろいろな検討をやっていこう、このこともきのう決まったわけであります。
それから、本国会中に特区法の改正があるのか。これにつきましては、私どもは、これから新しい緩和項目を入れるということは、具体的な場所とテーマ、そして事業内容が詰まっていかないと、そこの地域でやって、こういう仕事をやるから、効果が出るから、ここはこの緩和をしようじゃないか、これが必要なのであります。
ですから、作業を進めていく上で必要であれば、私どもはこれは即座に対応したいと思いますが、それはあくまで作業の進捗状況によるということでございまして、予断を持たずに、我々とすれば、とにかくスピーディーに進めなければいけませんから、取り組みたい、このように思っております。
○塩崎委員 総理も同じような決意で、聖域なく、この岩盤規制に取り組んでいくということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 今、新藤大臣が答えさせていただきましたように、まさに聖域なき改革を進めていきたい、その中において、もちろん労働規制も含めてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○塩崎委員 ぜひ、二年間にいわゆる岩盤規制と呼ばれているものを全て片づけるというぐらいのことはやはり達成していかなきゃいけないんじゃないかなと思いますし、先ほど来申し上げているように、ダボスで大変すばらしい演説をして、この特区のことも言っているわけであります。これらを達成しないと、さっき申し上げたような、買いが売りになるということになりかねませんので、ぜひそこはやっていただきたいというふうに思います。
そこで、もう一つは、東京など大都会を中心にいくんだということで、実は自民党の中でも、我々議論をすると、地方が大事だろうという声がやはりたくさん出てくるんですね。私も愛媛県ですけれども、特区を大阪とか東京じゃなくて、愛媛県も、松山もやってくれと、つい思うわけであります。
そのときにも話が出たのは、東京など大都会が世界に勝てる都市にならないで地方が元気になるわけがないというふうに説明をすべきではないかという話が出ましたが、やはり日本全体の成長をやるためにも、世界に勝てる都市をつくっていくということが大事なので、そこをやるんだという理解でよろしいでしょうか。簡潔にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 これは基本的には、日本全体で世界の競争に勝ち抜いていくということが大切である、だからこそ戦略特区ということになるわけであります。この国家戦略特区の地域の指定については、ある種の誤解はあると思いますが、取り組みがリーディングプロジェクトとして、日本経済全体を再生する観点から行うこととしておりまして、必ずしも大都市に限定されるものではありません。地方も視野に入れた全国的な視点に立つこととしておりますが、しかし、もちろんこれは、日本経済全体が活力を持っていく、成長していく、勝ち抜いていくという観点から見ていくということになります。
このため、地域の指定基準の中に、当該プロジェクトの実施により、産業の国際競争力の強化または国際的な拠点の形成を通じて、全国的に広く波及効果を及ぼすことを盛り込むことにしております。また、指定地域としては、都市圏を想定した類型に加えまして、一定の分野において、国家戦略として必要な取り組みを強力に推進する市町村を特定して、地理的なつながりにとらわれずに指定するバーチャル特区という類型を設けたいと考えているところであります。
○塩崎委員 新たな実験ですので、あらゆる可能性を考えてやっていただきたいと思います。
次に、コーポレートガバナンス。これも総理が、会社法を改正して、社外取締役がふえますといったような一連のことをおっしゃっておりますけれども、それに移りたいと思います。
まず一番最初に、これは日米の生産性の業種別の比較で、なおかつ横軸は、どれだけの人がその産業で働いているかということがわかるように、これを経産省に言ってつくってもらいました。
これを見てわかるように、実はこれは、麻生大臣が一月二十日の経済財政諮問会議でお配りになっていたペーパーのとおり、日本の経済の本質は、やはり産業構造を大転換しないとだめだということであり、そして、生産性が低過ぎる。そうすると、収益力が低い。ですから、当然、賃金を上げようにも上がらない。こういう問題であって、これを見てわかるように、例えば、卸、小売というのは、全体の二五%ぐらいの人が働いていますけれども、何とアメリカの半分以下の生産性しかないんですね。それから、飲食、宿泊なんというところは四分の一の生産性しかない。これで生活水準を特に地方で上げるといったって無理だと思うんですね。
ですから、これは全体的に上げなきゃいかぬということで、アベノミクスでやらなきゃいけないことは、大変大きな、日本の経済の、言ってみれば、何度も言いますけれども、文化や風土に根づいたものを直していかなきゃいけないという大作業だということをお示ししたつもりでございます。
それからもう一つは、しかし、日本人とか日本の企業は、やはり優秀な人や優秀な企業はいっぱいある、いっぱいいい人がいる。だけれども、なぜか収益が上げられていない。なぜだろうか。
これをちょっとつくってもらったんですけれども、アメリカで特許を取っているランキング、上から十位まで。それから、右側にROEを並べて書いてございますが、これを見てわかるように、実は、十位までに入っているのは、日本がやはり四社で、一番多いんですね。あとはアメリカ三社、韓国二社、台湾一社ですから。ところが、残念ながら、見てのとおり、ROE、利益率は非常に低い。
これはどういうことだろうかということでありまして、結局、企業が、あるいは一人一人の日本人が自分で頑張るということをやらない限り無理だなというふうに、私は結論づけているわけであります。
そこで、会社法を今回直しますということで、総理もダボスで発信をしていただきました。社外取締役がふえるぞということであります。
お手元にあるのは、私の事務所で、法務省などと協力をしながらつくったものでありますけれども、今回決めたことは何か。
要するに、社外取締役というのが日本は非常に少ない、そう言われていました。世界はどうなっているかというと、まず、本当に義務化をしている、法律かあるいは取引所で義務化をしちゃっているというのがアメリカであり韓国、そこに書いてあるとおりであります。
おととし民主党政権下で決めたことは、義務化はしないという結論になって、いわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン、難しい言葉ですけれども、ルールに従え、さもなければ従わない理由を説明しろという枠組みにしましょうということになりました。実は、これを見てわかるように、イギリス、ドイツ、フランス、ヨーロッパ型のやり方がとられたわけであります。
残念ながら、いわゆるコンプライの方、独立取締役の選任の方、これも、東証のルールなんですけれども、今回もそのままいきますが、東証のルールが極めて不明確だった。それから、遵守しない理由の説明についても、省令でやろうということで、経済界の中には、もうひな形をつくって、みんなこのひな形を使えば逃げられるわと言っておられたというような説すらもあって、これじゃだめだな、こういうふうに評価されていました。
それで、我々自民党の中で議論した結果どうなったかというと、まず、コンプライの方は、東証のルールを変えて、独立取締役を少なくとも一名以上という明確な数値目標も入れて、なおかつ、理由説明は、口頭説明を総会でやれということになって、これも会社法で、法律で定めますから、やらなかったら当然法律違反になるという世界にしたわけであります。
さらに、前年度入れなかった方がよかったという理由で、ほかの国は前年度入れなかった理由というのを言うわけですけれども、我々は、前年度入れない方がいいという理由を言え、それも口頭で言えということにしましたし、当該年度の取締役を入れないという場合についても、入れないんだったら、入れない方がいいという理由を総会の書類に書けということにしましたが、結局、口頭で両方説明しないといけなくなったということなんです。
ですから、これは総理、谷垣大臣でいいんですけれども、事実上、義務化したのと同じぐらい、もし、これまでやっているのに、まだやらないということになると、これは相当恥を忍んでやらなきゃいけないので、上場会社ですから、そんなことをやる会社というのはめったにないだろうと私は思っているので、ですから、今回の我々の改正は、事実上、義務化をしたのに等しい。
何でかというと、マスコミは義務化を先送ったとか断念したとかと書いているから、違うと。たまたまきのうの新聞に、キヤノンもついに入れるようになりましたという新聞報道がありましたが、この事実上義務化したのと同じじゃないかということについて、お考えを述べていただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 事実上義務化したという塩崎委員のお考え、私は、そういう評価は十分可能だと思っています。
御承知のとおり、これを決める過程では相当賛成、反対論がありましたので、正面から義務化するという形は確かにとっていないわけです。だけれども、今委員が説明されましたように、今度の改正案の中では、それを入れていないところは、株主総会で、口頭で理由をきちっと説明しなきゃならないということになっております。社外取締役を置くことが相当でない理由をきちっと説明しなきゃならない。
それからまた、法務省令を改正しまして、委員のおっしゃったとおり、事後的にもきちっとやらなきゃならぬ、こういうことになっております。
それからもう一つは、これも委員がお挙げになったことですが、東京証券取引所は、上場規則を改正して、上場会社に、取締役である独立役員を少なくとも一人以上確保するという努力義務を課す予定で、今作業をしていただいている。
これは、イギリス等々のコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを参考としたものでありますが、結局、各会社の個別の事情に照らして、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明できないような上場会社は、もう社外取締役を置くことが強く促されることになると私は思います。
そういう意味で、委員がおっしゃった評価というのは、十分私は可能だと思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
それで、日本の中のコーポレートガバナンスコードがないというのが色を違えて書いてあります。本当は答弁をいただくところだったんですけれども、時間がなくなっちゃったのでやめますが、私はやはり、ドイツのシュレーダーもコーポレートガバナンスコードを入れて企業をきっちり元気にしていったということでもありますので、日本でもコーポレートガバナンスコードをつくるべきだということで、実は自民党の中でも既に作業を始めていますので、政府の方でもぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、GPIF、年金の問題について、時間がないので、もう簡潔に。
運用の方針を変えるということ、これは伊藤先生たちを中心としたところから提言が出ているわけでありますけれども、同時に組織も変えようということでありました。
今回、GPIFについては、総理も、ポートフォリオの見直しを初めフォワードルッキングな改革を行いますと書いてありますから、これをスピード感を持ってやらなきゃいけないと思います。
したがって、これは組織を変えますから、法改正が必ず要るようになるわけですから、スピード感という意味では今国会中に出してくるべきだ、財政検証があるからというようなことは理由に私はならないと思うんです。
ダボスでこれだけのことをお約束してきた総理ですから、その内閣としては、やはりこの法律を出す。出すことによって考えがわかりますから、通らなくたって、六月に出したとしても、私は世の中には伝わると思うんです。政府は、こういう形で変えていくということは、じゃ、本気なんだなということになりますから。
ぜひ田村大臣のところでやっていただきたいし、もし今国会中に出さないということであるならば、我々はもう既に議員立法を、今作業を始めていますから、我々がかわって出そうじゃないかという考えも我々は持っていますので、ぜひ今国会中に組織の法律についても出すということをお約束いただければありがたいなと思っています。
○田村国務大臣 今、GPIFのお話が出ました。GPIF、なかなかわかりづらいんですが、年金積立金管理運用独立行政法人、積立金を運用している、そういう機関であります。
これは内閣官房の中で有識者会議をしていただきまして、非常に機動性が悪いと。例えば、人員それから給与水準、すばらしい専門家を雇おうと思えば給与水準を上げなきゃいけない。それからさらには、いろいろと組織を動かしていく上において、合議制、こういうものも含めてやろうということで、行政改革推進会議の中で検討をいただいて、結論を出していただきました。ですから、今までよりも機動的に動くようになります。
ただ、そのように党の方でもいろいろと組織を変えるための法律のお話があるようでございますので、これはまた相談をさせていただきながら進めさせていただきたいというふうに思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
下村大臣に、もし可能ならば、教授会のあり方というものが、どうも大学の改革に足手まといになっているのではないかということで、物事をはっきりさせる意味で、学校教育法の九十三条を改正する、いわゆる決定機関じゃなくて諮問機関にするということをおやりになる御決意があるかどうか最後に聞いて、終わりたいと思います。
○下村国務大臣 文部科学省としては、大学のガバナンス改革に対して、精力的にやってまいりたいと思います。
教授会については、その役割を明確化するため、学校教育法第九十三条も含め、関係する法令の改正に向けて検討してまいります。
○塩崎委員 終わります。ありがとうございました。
野田聖子総務会長に続いて、質問をさせていただきたいと思います。
先ほど来お話がありましたように、政権に復帰いたしまして二年目ということで、この道しかないという道を、去年、まさに仕込みの年として一年間、安倍総理を先頭に、我々自公政権が頑張ってきたわけでありますけれども、ことしはその仕込んだものを結果を出していく、そういう大事な年ではなかろうかと思いますし、これは自公民で決めた消費税の引き上げが四月からあるわけでありますけれども、それをも吹き飛ばすような勢いで、新しい日本をつくっていくということをやっていかなければならないというふうに思います。
今回の、先ほど来お話が出ているオリンピック、パラリンピックが東京に二〇二〇年にやってくるということを決めるに当たって、やはり心を一つにして当たった、総理を先頭に当たったということがあの大きな成果をもたらしたということでありますから、ことしも、結果を出す年、そのときに当たっては、やはり心を一つにしていくことが大事じゃないかなというふうに思います。
また、当然のことながら、これはもう総理も私どもの幹事長も何度も言っているように、やはり丁寧に、そして謙虚にやらなきゃいけませんし、私も今、予算委員会の自民党の筆頭理事をやっておりますが、予算委員会の運営に関しても同様にやっていきたいというふうに思っております。
まず外交でありますが、先ほど、総理が元気なのでびっくりしているという話がありましたが、まさにそのとおりでありまして、外遊、既に十六回、特にバイの訪問国が二十八カ国ということで、民主党政権の三年三カ月のときのバイの訪問国というのはたった四カ国であります。
したがって、最近は国際会議に行っても、もう顔なじみになっている方がたくさんおられるものですから、会議の雰囲気もとてもいいという話を聞いているわけであって、人間というのは世界じゅうどこへ行ったって同じでありますから、やはり個人的な人間のつながりというのが基本、そういうことを考えてみれば、いわゆる地球儀を俯瞰する外交というのはどういうふうにことしはなるのか、その意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、塩崎委員がおっしゃったバイというのは二国間という意味であります、改めて、ちょっとわかりやすく述べさせていただきたいと思いますが。
十六回海外に出張いたしまして、三十一カ国を訪問いたしました。そして、それ以外にも多くの外国の賓客が日本を訪問いたしまして、電話会談も含めれば百五十回以上首脳会談を行ったところでございますが、日米同盟関係を強化する、日米同盟関係というのは日本の外交、安全保障の基軸であります。そして、アジアは大切であります。ASEANの国々、一年間で全てのASEAN十カ国を訪問し、そして、年末には特別首脳会議を開催したところでございます。
残念ながら、中国、韓国の首脳と首脳会談を開催できていませんが、中国においては、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って関係を改善していきたい、こう思っておりますし、韓国については、大局的な観点から、未来志向で重層的な関係を築いていくべく努力をしていきたいと思っております。
また、日本にとってほとんどのエネルギーを中東に依存している中において、GCC全ての国を訪問させていただきました。こうしたエネルギー外交、さらには、インフラ輸出を進めていく上においてもトップセールスが大切でございますので、そういう意味における経済外交も展開をしてきたところでございます。
さらには、日本が、国際協調主義に基づく積極的平和主義によって、世界に対して今まで以上にその安定と平和の維持のために貢献をしていくということを発信していきたい、こう考えているわけでございますが、その観点からは、国連における演説、あるいはダボスにおけるスピーチ等で積極的に発信をしてきたところであります。
まだ訪問していない主要な地域としては、中南米あるいはまた大洋州等があるわけでございますので、そうした地域を訪問したいと考えているわけでございますし、またヨーロッパにおいては、イギリスとそしてポーランドには参りましたが、まだほかの国々、たくさん残っているわけでございますので、そうした国々もぜひ訪問しながら、日本の国際社会におけるプレゼンスを高め、国益を確保していきたいと考えているところでございます。
○塩崎委員 ありがとうございました。
トップセールスといえば、オマーンには私ども愛媛県の紅まどんなを持っていっていただいたというふうに聞きまして、大変ありがたく思っておりますし、また、トルコの首相のときにも出していただいたというふうに聞いております。
いずれにしても、各地の名産品を必ず何か持っていっておられるという、フードフェアみたいなことをやっていらっしゃるように聞いておりますので、ぜひ、地域を元気にする、地方を元気にするという意味で、さまざまなそれぞれの名産品を売り込んでいただきたいと思います。
ことしの一月の八日から四日間、日米議連で訪米をしてまいりました。中曽根会長、それから小坂憲次幹事長、私が事務局長、本当は民主党の長島事務局次長も御一緒されるところでありましたが、残念ながら、都知事選などの関係で出られなかったんです。我々三人で行ってまいりました。約二十名余りの議員に会い、久方ぶりにドアノックをやってきたということでありまして、やはりこれが基本なんだろうなと。
一方、翻って、アメリカからどうかというと、かつては、日本を飛ばして中国へ行くという議員が多いとよく言われていましたが、実は、去年初めて、上院議員九人、下院議員十七人、合計二十六人のアメリカの議員が日本に来て、これは最多数、今まで一番多かった議員の訪問数だというふうに思っております。
そういうふうに、お互いの議員が行き来をする中で重層的な外交を広げていくということが大事であり、総理も下院議員の一行にこの間お会いをいただきましたし、それから、将来の共和党の大統領候補と言われているルビオ上院議員にもお目にかかっていただきました。二月には、我々のカウンターパートの議連の一行が参ります。それから、ロイス下院外交委員長一行も来ます。さらに四月には、アスペングループというのが、また割合多い人数で多分来ると思います。
かなり来るようになってきていただいているんですけれども、これはなぜだろうか。
考えてみると、やはりこれは、強い日本の復活というか、独自の日本の復活を見て、それをまた予感して、それで関心を持って来てくれているんだろうと思いますし、この間アメリカに行ったときに、やはり向こうから出てくるのは、経済的に最も影響力があり強い国であってほしいと、日本について思っているわけでありますし、何よりもやはり経済だと。経済、経済、経済と日本語で言ったアメリカの識者もいたぐらいであります。
結局、外交も安全保障も、何においてもやはり経済が強いということがまず第一の条件であって、そういう意味で、今、アベノミクスがやっていることは大変、全ての面で意味があるというふうに私は思っております。
そこで、きょうは経済を中心に御質問させていただきたいと思います。
まず、第一の矢と第二の矢でありますけれども、第一の矢につきましては、実質金利が高かった、あるいは円高だった、そして、実物投資をしても損をする、価格が下がるから。ですから現金を持っていた方がいい、こういう言ってみればデフレの縮小均衡だったのを、黒田日銀が、まさに人々の期待を変えて、これについてはいい方向に向かっていると思いますが、問題は、大胆な金融政策をやるときには、やはりきちっとした財政の規律というものがなければできないわけであって、そうでなければ、国債は売れません、長期金利は上がりますというふうなことになる。
そういう意味で、財政再建については目標を立て、まず来年度までに対GDP比で半減、そして二〇二〇年に黒字化ということであります。
来年はどうも達成はできそうでありますけれども、心配なのは、二〇二〇年に黒字化というのが、どうも今のままいくと、この試算でいきますとマイナスの一・九ということで、かなりギャップがあって、これについては来年になって本格的に考えるということになっていますけれども、もちろん、アベノミクスで経済がどれだけ成長するのか、その他どういうふうに歳出を改革していくのかということでありましょうけれども、やはり来年まで待つというのでは、ちょっと心もとない。
そういうことであるということになると、どういう意気込みで黒字化に向けての取り組みあるいは道筋を考えておられるのか、この決意のほどを聞かせていただきたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 政府としては、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでいるところでありまして、平成二十六年度予算では、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現いたしまして、新規国債発行を一・六兆円減額しているわけでありますが、これはもう委員御承知のように、この幅の改善というのは過去二番目の高さでありまして、一番高かったときは六・八兆円、これは平成十九年、委員が官房長官のときであります。そのときが六・八兆円、今回は五・二兆円であったわけであります。
財政健全化に向けて、着実に今、歩みを進めているところでございまして、当初予算で見ますと、民主党政権において編成された三回の予算で、一般会計の基礎的財政収支は十一・八兆円悪化したわけでありますが、その後の内閣のもとで編成した予算で六・九兆円改善したわけでありまして、引き続き、二〇一五年度における国、地方の基礎的財政収支の赤字、対GDP比半減に向けて財政健全化の取り組みを進めていきたい、このように考えているわけでございます。
二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、中期財政計画に沿って、基礎的財政収支対象経費と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の取り組みを強力に進めていかなければならない、このように思っています。黒字化目標の達成については、今後、二〇一五年度における財政状況等を踏まえて経済、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的な道筋を描いていきたいと思うわけであります。
基本的には、デフレ下にあっては財政再建というのは、税収が伸びないわけでありますから、これはできないわけでありまして、だからこそ、デフレから脱却し、同時に経済を成長させて、税収をふやしながら無駄遣いをなくしていく。さらには、消費税をことしの四月から引き上げていくということによって税収増を図っていく。我々は、この道しかない、こう考えているところでございます。
○塩崎委員 成長と財政再建の好循環ということを甘利大臣なんかはいつもおっしゃっているわけでありますし、総理もそのとおりおっしゃっていますから、これをどうやってつくっていくか。
前回申し上げましたけれども、やはり、社会保障それから行革、これらについては、どこかで腹をくくって大胆なことを決めなきゃいけないことが来るんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、引き続き議論してまいりたいと思います。
足元の財政という意味では、安倍内閣のやっていることについての誤解の一つに、しょせんは公共事業による回復じゃないか、こういう意見があります。この間の海江田代表の代表質問でも、財政出動による公共事業の大盤振る舞いというふうにありました。
ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、いろいろ統計のトリックがありまして、例えば、民主党時代に一括交付金というのがありました。実態は公共事業なんですけれども、そうじゃないようにしてほかに振っていったというのを、ちょっと棒グラフで足してみたり、それから今回、実は、公共事業の特別会計、それを一般会計に繰り入れることにしました。したがって、それは今伸びているように見えるけれども、六兆になっていますけれども、実はこれは本当は五・四兆、今までのものでいけばですね。
そうして見ると大体微増ぐらいなところであって、中身を精査しながら、やはりやるべきことはやっていく、しかし、抑えていかなきゃいけないということだろうと思うんです。
そこで、大事なことは、総理みずからが、去年の一月に所信表明演説の中で、「財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。」こう明言をされておりました。この基本方針は変わらないかどうか。この決意をしっかり聞いておかないといけないと思います。
○安倍内閣総理大臣 安倍内閣発足以来、デフレ脱却、経済再生を最重要課題として、第一の矢である大胆な金融緩和とともに、第二の矢として大規模な平成二十四年度補正予算を直ちに編成するなど、全力を尽くしてきました。こうした取り組みによって景気の回復が進んでいるわけであります。
他方で、我が国の財政については、巨額の公的債務が累積するなど大変厳しい状況にあると認識をしているわけでありまして、こうした中で、我が国経済の持続的な成長を実現し、経済再生と財政健全化を両立させていくために、いつまでも財政出動に頼るわけにはいかないと考えておりまして、それは今も全く変わっていないわけでございます。
平成二十五年度補正予算では五・五兆円の経済対策を実施することとしておりますが、これは、消費税引き上げに伴う反動減を緩和して成長力の底上げを図るためのものでありまして、そうした中で、民間の創意工夫を促し、我が国企業の競争力を強化する施策などに重点化をしているわけであります。
また、こうした措置に加えて、成長戦略を強力に進めていく考えでありまして、成長の主役はあくまでも民間経済でありまして、今後とも、規制改革などあらゆる施策を総動員して、民間の投資と消費が持続的に拡大する経済成長を目指していく考えであります。
○塩崎委員 ありがとうございました。
次に申し上げたいと思うんですけれども、去年の十二月に、ドイツのシュレーダー前首相を私ども、日本に招待いたしまして、講演とパネルディスカッションをやりました。そのときのタイトルは、アベノミクスへの提言というのでお願いをしたわけであります。
ドイツは、皆さん御存じのように、九〇年代の後半は、欧州の病人と呼ばれるぐらい、経済はへたっておりました。それが今や、欧州最強の牽引役というふうになっている、元気な経済になっているわけでありまして、それがまさにシュレーダー改革によってもたらされた。メルケルさんは、言ってみれば、その効果を後で享受して、いい割を食っているということであります。
九八年にスタートしたシュレーダー政権、たしか二〇〇三年だったと思いますけれども、アゲンダ二〇一〇という構造改革のパッケージを発表しましたが、次々といろいろな改革を打っていきました。労働組合をバックにしていながら非常に雇用政策についても切り込んでいって、大変大胆な改革をやったことは皆さん御存じのとおりだと思うんです。
そのとき、安倍総理へのアドバイスはどうですかということをパネルディスカッションで聞きましたら、彼が瞬時に言ったことは、やはりトップダウンによる改革断行しかないよ、自分はそうしたということで、国益のためにトップダウンでやれということで、ボトムアップでは議論が堂々めぐりになって成り立たないということであります。
政治家が必要な決断を下すということが必要であって、私からも、ぜひ総理には、国益のために全てをかけて、ひるむことなくリーダーシップを発揮してもらって、もちろん、各方面の理解は最大限の理解を得られるように努力を絶えずしながら、しかし、引き続きトップダウンで頑張ってもらいたいというふうに思っています。
もう一点は、去年一年間、株価が随分上がったのはもう御案内のとおりで、きょうもちょっと上がっていますが、去年一年間で、では誰が株を買ったのかというのを見てみると、御存じかと思いますけれども、実は、外人が十五兆円の買い越し、それに対して日本の個人の投資家は九兆円の売り越しであります。日本の金融機関は、さらに十一兆円の売り越しをしている。つまり、日本の国内の投資家は、かなりの部分、投信は買っているかもわかりませんが、かなりが売って、そして外人が買ってこれだけ上がってきているということを、我々は忘れてはならない。実は、一月に入って三週連続、外人は売り越しになっています。
ですから、これは非常にこれから気をつけなければいけないのであって、何を意味するかというと、やはり、外人の投資家に向かっても、アベノミクスはぶれずに進めていくというメッセージを強く出すこと、それと、国内はまだ慎重になっているわけですから、これなら確実に大丈夫になるなということをわかってもらうようにしていくことが大事なんだろうと思うんです。
この間、ダボスで初めて日本の総理として冒頭の演説をやられました。初日に御案内をいただいたというのは初めてだと聞いておりますけれども、その講演の中で力強くアベノミクスについて主に語っていただいたわけでありますけれども、強烈なメッセージだったと私は思います。
とてもよかったと思いますが、一方で、これは世界に対してメッセージを送ったわけですから、言ったことはやらなきゃいけない。まさに言ったことはやらなきゃいけないのであって、それを念頭に、それもやはりスピード感というのが大事だと思うんですね。発信をして、やるぞということをたくさん言っていただきました。ですけれども、向こうは、じゃ、すぐやるんだなと必ず思いますから、そのスピード感がずれると、買い越しが売り越しに変わってくるということになるんだろうと思います。
これから、法人税の問題、岩盤規制の問題、コーポレートガバナンス、それからGPIFの問題についてお話をしていきたいと思いますが、まずは法人税であります。
ダボスでのスピーチでは、もう何度も引用されていますけれども、国際相場に照らして競争的なものにするということと、本年さらなる法人税改革に着手をいたしますということでありました。誰しもが、法人実効税率を引き下げるんだな、その決意だなというふうにとったと思います。
それから、一方で、与党の税制改正大綱や成長戦略進化のための今後の検討方針など、あるいは、麻生大臣が諮問会議でお出しになったペーパーなどでは、やはり、政策税制の抜本的見直しを含めた課税ベースの拡大、そして他の税目での増収ということで、税収を考えた上での減税ということをおっしゃって、レベニュー・ニュートラルということなんだろうというふうに思います。
それに対して総理は、一月二十日に諮問会議で、法人税の議論に、レベニュー・ニュートラルの考え方にこだわらないというふうにとれる御発言をされておりましたし、諸外国で、減税をしたけれども、オーバータイムでは、何年かにわたって見れば税収がふえているじゃないかということもあるので、実例を検証しろ、こういうふうに指示をされたというふうに聞いているわけであります。
私も、いつも税調で何年も議論をしていて、よく単年度の減収額というので政策を判断していますけれども、これで本当にいいんですかということは何度も言ったことがあります。やはり、ある程度モデル的な、複数年度にわたってダイナミックに、スタティックというか静的にじゃなくて、動的に物事を考えて、その政策効果をどうするのかということをやるべきじゃないかというふうに私としては主張してまいりましたけれども、まさにそういうことではないかなというふうに思います。
そこで、総理に御質問は、今申し上げたような趣旨で、このレベニュー・ニュートラルに必ずしもこだわらずに外国の例なども検証してみろということをおっしゃったのかどうか、あるいは、民間議員の皆さんは二〇%台のことを言っているわけですけれども、そういった方向について考えていらっしゃるのかということについて少し、いろいろな意見がありますので、この法人実効税率の引き下げ問題について、改めてその肝を聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 昨日の諮問会議の特区の部会において、竹中委員から、ダボスにおいてキャメロン首相が法人税の実効税率を二〇%にしますと言ったときに大変どよめきがあったという紹介をされました。同時に、イギリスは二〇%消費税というものを、軽減税率がどんとありますが、持っているのも事実であります。
この法人課税の改革については、与党でも議論をいただいているところでありますが、政策効果もしっかりと検証していただく。また、課税ベースの拡大や他税目での増収策の検討といった論点が示されているところでありますが、日本経済の活性化のためには、産業構造も含めた大きな議論が必要であります。そういう議論を行い、グローバル経済の中での競争等も考えながら法人課税のあり方を検討していくことは重要と考えております。
本年、さらなる法人税改革に着手したい、こう考えているところでありますが、先般の諮問会議においては、いわば、ある程度のスパンをやはり見ながら、実際どうだったかという検証もしてみる必要があるだろうと。いわば、法人税率を引き下げていくと、本当に、ある程度の期間においてはファクトとして税収が伸びているのかどうか、それを行った国等の検証をやっていく必要があるだろう。私も、雲をつかむような話でただ下げろというわけではなくて、これはアカデミックなアプローチでしっかりとその検証を行っていただきたい。
そういう中において、もし、その検証していく中において、そういう政策的効果ということであれば、今までのレベニュー・ニュートラルという考え方とは別に、もうちょっとダイナミックなアプローチがあるのではないかという趣旨の話をしたところでございまして、法人課税については、こういう幅広い論点について議論を行っていく必要があると考えているわけでございますが、財務大臣とも相談をして、政府税制調査会において、専門的観点から、法人実効税率のあり方、課税ベースのあり方、政策効果の検証、他の税目との関係などについて、来月にも検討を開始させたいと考えているところであります。
○塩崎委員 ぜひダイナミックな議論をしていただいて、みんなでやはりこの国をどうしていくのかを考えていきたいというふうに思います。
次に、昨日、今お話があった特区の諮問会議がございましたが、そこで基本方針の案というのが出てきたようであります。そこで、岩盤規制全般について速やかに具体的な検討を加えて、関連する障害をあぶり出して、国家戦略特区を活用して規制・制度改革の突破口を開いて、経済成長につなげることを目標とするということを言っているようでありますけれども、この間、二十九日の代表質問の答弁では、今後二年間を集中取り組み期間として、規制改革の突破口である国家戦略特区を活用するなど思い切った改革を行っていきますということをおっしゃっています。
質問でありますが、これは、今後二年間で、少なくとも特区においては残された岩盤規制を全て処理していくというふうにとっていいのかどうかというのが一つ目。
二つ目は、きのう岩盤規制のリストというのが出てきたようでありますけれども、聖域なく取り組むとしているこのリストの中には、労働規制、全国でないとだめだとか、いろいろなことがある労働規制も入っているのかというのが二番目。
三番目は、これから区域指定などをやっていきますし、いろいろな議論が行われて、この改革について、特に規制改革と税制についていろいろ出てくると思いますけれども、今度、今国会中に特区法の改正法案が国会に出てくるという可能性はあるのかどうか。
この三つについてお伺いをいたしたいと思います。
○新藤国務大臣 国家戦略特区の担当大臣を仰せつかっておりますので、私の方からお話をさせていただきたいと思います。
まず三つ、今御質問いただきました。
最初の、二年間で全ての岩盤規制に取り組むのか。これは、そのかたい決意を、きのう、この特区の基本方針の中で定めたところであります。これは積極的に取り組んでまいろう、こういうことを皆さんで共有いたしました。
それから、労働規制も入っているのか。これも、今まさに、そういったものも入っているということであります。この労働規制につきましても、これはあらゆる分野を聖域視せずに、いろいろな検討をやっていこう、このこともきのう決まったわけであります。
それから、本国会中に特区法の改正があるのか。これにつきましては、私どもは、これから新しい緩和項目を入れるということは、具体的な場所とテーマ、そして事業内容が詰まっていかないと、そこの地域でやって、こういう仕事をやるから、効果が出るから、ここはこの緩和をしようじゃないか、これが必要なのであります。
ですから、作業を進めていく上で必要であれば、私どもはこれは即座に対応したいと思いますが、それはあくまで作業の進捗状況によるということでございまして、予断を持たずに、我々とすれば、とにかくスピーディーに進めなければいけませんから、取り組みたい、このように思っております。
○塩崎委員 総理も同じような決意で、聖域なく、この岩盤規制に取り組んでいくということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 今、新藤大臣が答えさせていただきましたように、まさに聖域なき改革を進めていきたい、その中において、もちろん労働規制も含めてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○塩崎委員 ぜひ、二年間にいわゆる岩盤規制と呼ばれているものを全て片づけるというぐらいのことはやはり達成していかなきゃいけないんじゃないかなと思いますし、先ほど来申し上げているように、ダボスで大変すばらしい演説をして、この特区のことも言っているわけであります。これらを達成しないと、さっき申し上げたような、買いが売りになるということになりかねませんので、ぜひそこはやっていただきたいというふうに思います。
そこで、もう一つは、東京など大都会を中心にいくんだということで、実は自民党の中でも、我々議論をすると、地方が大事だろうという声がやはりたくさん出てくるんですね。私も愛媛県ですけれども、特区を大阪とか東京じゃなくて、愛媛県も、松山もやってくれと、つい思うわけであります。
そのときにも話が出たのは、東京など大都会が世界に勝てる都市にならないで地方が元気になるわけがないというふうに説明をすべきではないかという話が出ましたが、やはり日本全体の成長をやるためにも、世界に勝てる都市をつくっていくということが大事なので、そこをやるんだという理解でよろしいでしょうか。簡潔にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 これは基本的には、日本全体で世界の競争に勝ち抜いていくということが大切である、だからこそ戦略特区ということになるわけであります。この国家戦略特区の地域の指定については、ある種の誤解はあると思いますが、取り組みがリーディングプロジェクトとして、日本経済全体を再生する観点から行うこととしておりまして、必ずしも大都市に限定されるものではありません。地方も視野に入れた全国的な視点に立つこととしておりますが、しかし、もちろんこれは、日本経済全体が活力を持っていく、成長していく、勝ち抜いていくという観点から見ていくということになります。
このため、地域の指定基準の中に、当該プロジェクトの実施により、産業の国際競争力の強化または国際的な拠点の形成を通じて、全国的に広く波及効果を及ぼすことを盛り込むことにしております。また、指定地域としては、都市圏を想定した類型に加えまして、一定の分野において、国家戦略として必要な取り組みを強力に推進する市町村を特定して、地理的なつながりにとらわれずに指定するバーチャル特区という類型を設けたいと考えているところであります。
○塩崎委員 新たな実験ですので、あらゆる可能性を考えてやっていただきたいと思います。
次に、コーポレートガバナンス。これも総理が、会社法を改正して、社外取締役がふえますといったような一連のことをおっしゃっておりますけれども、それに移りたいと思います。
まず一番最初に、これは日米の生産性の業種別の比較で、なおかつ横軸は、どれだけの人がその産業で働いているかということがわかるように、これを経産省に言ってつくってもらいました。
これを見てわかるように、実はこれは、麻生大臣が一月二十日の経済財政諮問会議でお配りになっていたペーパーのとおり、日本の経済の本質は、やはり産業構造を大転換しないとだめだということであり、そして、生産性が低過ぎる。そうすると、収益力が低い。ですから、当然、賃金を上げようにも上がらない。こういう問題であって、これを見てわかるように、例えば、卸、小売というのは、全体の二五%ぐらいの人が働いていますけれども、何とアメリカの半分以下の生産性しかないんですね。それから、飲食、宿泊なんというところは四分の一の生産性しかない。これで生活水準を特に地方で上げるといったって無理だと思うんですね。
ですから、これは全体的に上げなきゃいかぬということで、アベノミクスでやらなきゃいけないことは、大変大きな、日本の経済の、言ってみれば、何度も言いますけれども、文化や風土に根づいたものを直していかなきゃいけないという大作業だということをお示ししたつもりでございます。
それからもう一つは、しかし、日本人とか日本の企業は、やはり優秀な人や優秀な企業はいっぱいある、いっぱいいい人がいる。だけれども、なぜか収益が上げられていない。なぜだろうか。
これをちょっとつくってもらったんですけれども、アメリカで特許を取っているランキング、上から十位まで。それから、右側にROEを並べて書いてございますが、これを見てわかるように、実は、十位までに入っているのは、日本がやはり四社で、一番多いんですね。あとはアメリカ三社、韓国二社、台湾一社ですから。ところが、残念ながら、見てのとおり、ROE、利益率は非常に低い。
これはどういうことだろうかということでありまして、結局、企業が、あるいは一人一人の日本人が自分で頑張るということをやらない限り無理だなというふうに、私は結論づけているわけであります。
そこで、会社法を今回直しますということで、総理もダボスで発信をしていただきました。社外取締役がふえるぞということであります。
お手元にあるのは、私の事務所で、法務省などと協力をしながらつくったものでありますけれども、今回決めたことは何か。
要するに、社外取締役というのが日本は非常に少ない、そう言われていました。世界はどうなっているかというと、まず、本当に義務化をしている、法律かあるいは取引所で義務化をしちゃっているというのがアメリカであり韓国、そこに書いてあるとおりであります。
おととし民主党政権下で決めたことは、義務化はしないという結論になって、いわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン、難しい言葉ですけれども、ルールに従え、さもなければ従わない理由を説明しろという枠組みにしましょうということになりました。実は、これを見てわかるように、イギリス、ドイツ、フランス、ヨーロッパ型のやり方がとられたわけであります。
残念ながら、いわゆるコンプライの方、独立取締役の選任の方、これも、東証のルールなんですけれども、今回もそのままいきますが、東証のルールが極めて不明確だった。それから、遵守しない理由の説明についても、省令でやろうということで、経済界の中には、もうひな形をつくって、みんなこのひな形を使えば逃げられるわと言っておられたというような説すらもあって、これじゃだめだな、こういうふうに評価されていました。
それで、我々自民党の中で議論した結果どうなったかというと、まず、コンプライの方は、東証のルールを変えて、独立取締役を少なくとも一名以上という明確な数値目標も入れて、なおかつ、理由説明は、口頭説明を総会でやれということになって、これも会社法で、法律で定めますから、やらなかったら当然法律違反になるという世界にしたわけであります。
さらに、前年度入れなかった方がよかったという理由で、ほかの国は前年度入れなかった理由というのを言うわけですけれども、我々は、前年度入れない方がいいという理由を言え、それも口頭で言えということにしましたし、当該年度の取締役を入れないという場合についても、入れないんだったら、入れない方がいいという理由を総会の書類に書けということにしましたが、結局、口頭で両方説明しないといけなくなったということなんです。
ですから、これは総理、谷垣大臣でいいんですけれども、事実上、義務化したのと同じぐらい、もし、これまでやっているのに、まだやらないということになると、これは相当恥を忍んでやらなきゃいけないので、上場会社ですから、そんなことをやる会社というのはめったにないだろうと私は思っているので、ですから、今回の我々の改正は、事実上、義務化をしたのに等しい。
何でかというと、マスコミは義務化を先送ったとか断念したとかと書いているから、違うと。たまたまきのうの新聞に、キヤノンもついに入れるようになりましたという新聞報道がありましたが、この事実上義務化したのと同じじゃないかということについて、お考えを述べていただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 事実上義務化したという塩崎委員のお考え、私は、そういう評価は十分可能だと思っています。
御承知のとおり、これを決める過程では相当賛成、反対論がありましたので、正面から義務化するという形は確かにとっていないわけです。だけれども、今委員が説明されましたように、今度の改正案の中では、それを入れていないところは、株主総会で、口頭で理由をきちっと説明しなきゃならないということになっております。社外取締役を置くことが相当でない理由をきちっと説明しなきゃならない。
それからまた、法務省令を改正しまして、委員のおっしゃったとおり、事後的にもきちっとやらなきゃならぬ、こういうことになっております。
それからもう一つは、これも委員がお挙げになったことですが、東京証券取引所は、上場規則を改正して、上場会社に、取締役である独立役員を少なくとも一人以上確保するという努力義務を課す予定で、今作業をしていただいている。
これは、イギリス等々のコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを参考としたものでありますが、結局、各会社の個別の事情に照らして、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明できないような上場会社は、もう社外取締役を置くことが強く促されることになると私は思います。
そういう意味で、委員がおっしゃった評価というのは、十分私は可能だと思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
それで、日本の中のコーポレートガバナンスコードがないというのが色を違えて書いてあります。本当は答弁をいただくところだったんですけれども、時間がなくなっちゃったのでやめますが、私はやはり、ドイツのシュレーダーもコーポレートガバナンスコードを入れて企業をきっちり元気にしていったということでもありますので、日本でもコーポレートガバナンスコードをつくるべきだということで、実は自民党の中でも既に作業を始めていますので、政府の方でもぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、GPIF、年金の問題について、時間がないので、もう簡潔に。
運用の方針を変えるということ、これは伊藤先生たちを中心としたところから提言が出ているわけでありますけれども、同時に組織も変えようということでありました。
今回、GPIFについては、総理も、ポートフォリオの見直しを初めフォワードルッキングな改革を行いますと書いてありますから、これをスピード感を持ってやらなきゃいけないと思います。
したがって、これは組織を変えますから、法改正が必ず要るようになるわけですから、スピード感という意味では今国会中に出してくるべきだ、財政検証があるからというようなことは理由に私はならないと思うんです。
ダボスでこれだけのことをお約束してきた総理ですから、その内閣としては、やはりこの法律を出す。出すことによって考えがわかりますから、通らなくたって、六月に出したとしても、私は世の中には伝わると思うんです。政府は、こういう形で変えていくということは、じゃ、本気なんだなということになりますから。
ぜひ田村大臣のところでやっていただきたいし、もし今国会中に出さないということであるならば、我々はもう既に議員立法を、今作業を始めていますから、我々がかわって出そうじゃないかという考えも我々は持っていますので、ぜひ今国会中に組織の法律についても出すということをお約束いただければありがたいなと思っています。
○田村国務大臣 今、GPIFのお話が出ました。GPIF、なかなかわかりづらいんですが、年金積立金管理運用独立行政法人、積立金を運用している、そういう機関であります。
これは内閣官房の中で有識者会議をしていただきまして、非常に機動性が悪いと。例えば、人員それから給与水準、すばらしい専門家を雇おうと思えば給与水準を上げなきゃいけない。それからさらには、いろいろと組織を動かしていく上において、合議制、こういうものも含めてやろうということで、行政改革推進会議の中で検討をいただいて、結論を出していただきました。ですから、今までよりも機動的に動くようになります。
ただ、そのように党の方でもいろいろと組織を変えるための法律のお話があるようでございますので、これはまた相談をさせていただきながら進めさせていただきたいというふうに思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
下村大臣に、もし可能ならば、教授会のあり方というものが、どうも大学の改革に足手まといになっているのではないかということで、物事をはっきりさせる意味で、学校教育法の九十三条を改正する、いわゆる決定機関じゃなくて諮問機関にするということをおやりになる御決意があるかどうか最後に聞いて、終わりたいと思います。
○下村国務大臣 文部科学省としては、大学のガバナンス改革に対して、精力的にやってまいりたいと思います。
教授会については、その役割を明確化するため、学校教育法第九十三条も含め、関係する法令の改正に向けて検討してまいります。
○塩崎委員 終わります。ありがとうございました。
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